電磁界シミュレーション
電磁場のシミュレーションと解析
電磁界シミュレーション・ソフトウェア
電磁界シミュレーション・ソフトウェアを使うと、構成部品や系全体の電磁特性を効率よく検証できます。電磁(EM)系では、周波数帯域が幅広く、電気的に大規模で細部が込み入った構造物など、マルチスケールの問題に遭遇することが少なくありません。専用のソルバーで、特定の数値テクノロジーを使用してすばやく正確なシミュレーションを行います。EM シミュレーションは、設計工程全体に適用できます。バーチャル・プロトタイプを使うと、着想から、仕様に合わせた構成部品の統合、運用条件下での電磁性能解析まで、設計サイクルが一変します。
SIMULIA Electromagnetic Simulation の主なメリット
設計に要する時間を短縮
シミュレーションにより解析と最適化をすばやく行えるため、設計サイクルを短縮して競争優位性を獲得できます。
試験依存の軽減
物理的な試験と比較すると、シミュレーションは高速でコスト効率に優れ、設計サイクルの初期段階で実施できます。試験では見えにくい挙動を明らかにすることもできます
複雑な系の把握
高性能シミュレーションでは、繁華街でのアンテナ性能、高速 PCB の信号品質、人体における医療機器の安全性など、大規模な系や複雑な系の挙動をモデリングできます。
自動化による作業量の軽減
メッシュ作成、最適化、後処理を自動化することで、面倒なセットアップ作業がなくなり、必要な結果を短時間で得ることができます。
設計モデルの活用
モデリングとシミュレーションの融合(MODSIM)により、統合された設計環境で CATIA や SOLIDWORKS の形状に対してシミュレーションを直接実行できるため、モデル構築に必要な時間を削減できます。
マルチフィジックス・シミュレーションを用いた完全解析
電磁界シミュレーションは、流体シミュレーション、構造シミュレーション、マルチボディ・システム・シミュレーション、振動音響シミュレーションなどの他分野で補うことができます。
製品の性能と品質を向上
EM シミュレーション・ソフトウェアは、製品の市場投入時間とコストの削減方法を根底から変革します。電子機器や通信といったハイテク分野にとどまらず、航空宇宙・防衛、輸送、医療機器・医薬品など、さまざまな分野で利用されています。アンテナ、センサー、チップなどの構成部品単体から、航空機、スマートフォン、MRI などのデバイス全体まで、幅広く解析できます。
SIMULIA 製品ポートフォリオ内で協調設計を行うことで、各業界のプロセスに EM シミュレーションを組み込むことができます。モデリングとシミュレーションの融合(MODSIM)により、材料や製品の性能、信頼性、安全性の評価工程が加速します。エンジニアは、トレードオフの調査や問題への対処、設計の最適化を行ってから物理的な試作品へと進めるため、開発リスクを抑えることができます。3DEXPERIENCE プラットフォームのマルチフィジックス設計フローは、開発工程を再初期段階から効率化します。Simulia 電磁界シミュレーション・ソフトウェアは、3DEXPERIENCE プラットフォームでも単体でも使用できます。
EM シミュレーションの用途
アンテナ・シミュレーション
電磁界シミュレーション・ツールは、アンテナの開発と統合の全工程において非常に重要です。アンテナの機能設計、各種要件に合わせた改良、設置後の性能と RF 暴露の評価に役立ちます。SIMULIA の製品群は、さまざまな用途に必要なツールをアンテナ・エンジニアに提供します。
電磁障害シミュレーション
電子機器の設計や製造において、電磁障害(EMI)の制御は極めて重要な側面です。製品は、電磁両立性(EMC)国際規格に従い、電磁波放射が許容限度内におさまり、外部干渉の影響を受けないように設計・製造しなければなりません。電磁界シミュレーションは潜在的な問題の特定に役立ち、認定を基準にして開発工程を合理化できます。
RF シミュレーション
CST Studio Suite テクノロジーは、マイクロ波や無線周波数のフィルター、構成部品のシミュレーションに使える電磁ソルバーを各種提供します。Time Domain ソルバーは広帯域の進行波部品に、Frequency Domain ソルバーはバンドパス・フィルターなどの高共振構造体に最適です。特殊な機能として、動くメッシュやモデルの次数を削減し、正確なシミュレーションを高速化するというものがあります。導波路ポートは伝送線路の励振に役立ち、システム・アセンブリー&モデリング(SAM)ワークフローは複雑な機器のモデリングを簡素化します。Fest3D のソルバー・テクノロジーは導波路構造のシミュレーションに有効です。
光学シミュレーション
CST Studio Suite は、光周波数における波の挙動を正確かつ効果的にシミュレートします。インポート機能を介して、光素子レイアウト・ツールから 3D シミュレーション・モデルを簡単に自動生成できます。材料ライブラリには光周波数材料モデルがあります。後処理のテンプレートを使って、標準的な産業指標を計算できます。高性能コンピューティング・オプションを使って、電気的に大きな構成部品をシミュレーションできます。
低周波・電気機械ソリューション
SIMULIA の汎用ツールは、あらゆる産業の幅広いニーズに対応し、医療機器や磁石の設計など、精度が極めて重要な用途で活躍します。高度なモデリング機能を備え、永久磁石や超電導コイルを使ったデバイスの詳細な解析が可能です。使いやすく設計されたインターフェースが、高性能のモーターや発電機のシミュレーションと性能向上をサポートします。電磁界シミュレーションは、性能が最適な、持続可能な機械の開発に役立ちます。
荷電粒子力学シミュレーション
SIMULIA シミュレーション・ポートフォリオには、素子の自由運動粒子や電磁場をシミュレートする多様なソルバーが用意されています。CST Studio Suite と Opera のテクノロジーはその一例です。荷電粒子力学シミュレーションでは、高エネルギーにおける、粒子の放出、静電加速、静磁集束、相対論的運動方程式を解析します。
SIMULIA 電磁界シミュレーション・ソフトウェア製品
SIMULIA は、静止形周波数から光周波数まで、幅広い用途の電磁場計算に使えるシミュレーション・テクノロジーの発展に寄与しています。
3DEXPERIENCE プラットフォームの SIMULIA 電磁界シミュレーション・ソフトウェア
SIMULIA 電磁界シミュレーション・ソフトウェアは、3DEXPERIENCE プラットフォームのロールとしてパッケージ化されています。必要なアプリケーションすべてをすぐに利用できるため、迅速かつ効率的に作業を進めることができます。組織におけるお客様のロールに対応するパッケージをお選びください。
電磁界シミュレーションのリソース
電磁場の世界は、テクノロジーの進歩、革新的な方法論、発展を続ける産業需要によって変わりつつあります。SIMULIA で一歩先を行きましょう。今すぐご確認ください。
電磁界シミュレーションに関する FAQ
3D 電磁界シミュレーションとは、マクスウェルの方程式を空間と時間で解く手法を記述したものです。たとえば、体積の離散化に基づく手法には次のようなものがあります。
- 有限要素法(FEM)
- 有限積分法(FIT)
- 有限差分時間領域法(FDTD)
- 伝送線路行列法(TLM)
これらの手法は非常に一般的で、すべてのクラスの問題をシミュレートするために使用できます。ただし、特定の問題クラスをはるかに効率よく解ける、モーメント法(MoM)、境界要素法(BEM)、モード整合法、物理光学法などの手法もあります。
フルウェーブ法は、近似を使わず、問題の特殊な物理的性質に基づいてマクスウェルの方程式を解く手法です。一般的に、アンテナやコンポーネントなど、高周波電磁気用途向けのソリューションです。SIMULIA には、時間領域と周波数領域の EM シミュレーターがあります。
CST Studio Suite の過渡ソルバーは、有限積分法(FIT)と伝送線路行列法(TLM)に基づくソリューションです。広帯域構造体の広帯域な結果を計算するのに特に適しています。この種の EM シミュレーターは非常にメモリ効率が良く、大規模で高度に複雑かつ不均質な問題を処理できるため、GPU とクラスターに実装することで利用を大幅に促進できます。
定常シミュレーション範囲は、静電、静磁、定常電流で構成されています。Opera と CST Studio Suite テクノロジーの EM ソルバーを基盤とし、上記 3 つの定常用途に使える静電ソルバーは、静電場のシミュレーションはもちろん、センサーやタッチスクリーンのシミュレーションに最も適しています。静磁場ソルバーは、電気機械や粒子加速器磁石の設計に役立ちます。定常電流ソルバーは、高出力機器や PCB 配電網など、損失要素を含むコンポーネント内の直流電流解析に使用します。
最も優れた電磁界シミュレーション・ソフトウェアは、正確かつ高速にシミュレーションを実行するソフトウェアです。一つのソフトウェア・パッケージの中で多数の数値シミュレーション法を処理できるようにすることが、この課題を達成する基本要件です。一種類のシミュレーション・ツールでシミュレーション課題すべてに対応することはできないからです。SIMULIA 電磁界シミュレーション・ポートフォリオには、DC から光まで、周波数範囲の幅広い EM シミュレーターがあります。
電磁場の数値シミュレーションは一般に、マクスウェルの方程式を空間と時間で離散化したものに基づいています。最も単純な FDTD では、シミュレーション・ボリュームを直交座標系のグリッドにマッピングします。グリッドを構成する個々の立方体(セル)を異なる材料で満たし、セルの辺要素に電界、面に磁界を定義します。
その他の情報
SIMULIA のソリューションの詳細
組織の規模の大小を問わず、シームレスなコラボレーションと持続可能なイノベーションに、当社のソリューションがどう役立つかについて、SIMULIA の担当技術者がご説明します。
はじめに
学生、教育機関、専門家、企業向けのコースとクラスをご用意しています。お客様に最適な SIMULIA トレーニングを受講してください。
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