シグナル&パワー・インテグリティ・シミュレーション
電子系設計作業自動化(EDA)ワークフローにシミュレーションを統合
デジタル・システムの信号/電力品質
小型で高データレートの高速電子系には、干渉や騒音のリスクが低く、信号品質(SI: シグナル・インテグリティ)と電力品質(PI: パワー・インテグリティ)が高いことが求められます。データレートの増加に伴い、信号周波数は増加します。信号の伝わり方は標準的な回路電流よりも高周波電磁波の性質に近くなり、信号品質の問題を引き起こします。高速電子系の挙動は回路シミュレーションでは把握できません。高性能プリント基板の設計解析に向けてこれらの電磁場を完全にモデリングできる、フルウェーブの 3D アプローチが必要です。
バーチャル・ツインを使ったバーチャル SI/PI 試験
「バーチャル・ツイン」アプローチでは、シミュレーション環境で物理試験を再現できるため、SI と PI のエンジニアは最初から適切な設計ができます。バーチャル・ツインは、一つのパッケージにすべての関連データを含む、忠実性の高いシステム・モデルです。IR ドロップ、アイ・ダイアグラム、バスタブ・プロットなどの一般的な SI/PI 試験を仮想空間で再現できるほか、放射測定やバルク電流注入(BCI)などの電磁両立性(EMC)試験をセットアップできます。
信頼できるバーチャル・ツインには、正確なモデルが必要です。SIMULIA では、実在する特許基板の特性が保存された材料データベースにアクセスできるほか、周波数依存特性などのさまざまな材料特性モデルを使って、測定データからカスタム材料を作成できます。
シグナル・インテグリティ、パワー・インテグリティ、EMC の解析
CST Studio Suite の電磁界シミュレーション・ツールは、業界標準の ECAD ツールや MCAD ツールを使って EDA ワークフローに組み込むことができます。電子機器のエンジニアは、レイアウト前、レイアウト中、レイアウト後と、設計サイクルのあらゆるフェーズで、シグナル・インテグリティやパワー・インテグリティの問題や EMC に関する懸念点を解析できます。
PCB、IC、ケーブルのシグナル・インテグリティ
専門に特化した各種ツールには、集積回路(IC)パッケージ、プリント基板(PCB)、ケーブルの解析に必要な設計ルールチェッカーとソルバーが含まれています。 汎用 3D ソルバーは、基板と素子のすべてをまとめてシミュレートできます。IdEM の広帯域マクロモデリングテクノロジーにより、3D 電磁界シミュレーションから SPICE モデルを抽出できます。共役熱伝導(CHT)シミュレーションを電磁界シミュレーションに結合することで、電子系の熱性能の解析や冷却系の設計が可能になります。
EDA における電磁界シミュレーション
- シグナル・インテグリティ解析
- パワー・インテグリティ解析
- 広帯域マクロモデリング
シグナル・インテグリティ解析
シグナル・インテグリティ(SI)とは、伝送路を通過するデータの品質を維持し、アナログ信号から 1 と 0 のデジタル・パターンを確実に復元できるようにすることです。そのための重要指標となるのが、多数の乱数ビットがオシロスコープ上につくりだすアイ・ダイアグラムです。重要な現象としては、ジッターや損失のほか、クロストーク(伝送路間の干渉)や符号間干渉(連続ビット間の干渉)など、信号源からのノイズがあります。
パワー・インテグリティ解析
もう一つのパワー・インテグリティ(PI)とは、配電回路網の性能を解析することです。部品の受信電圧が許容範囲内であり、干渉を起こさないことを確認するうえで役立ちます。損失により(PCB)電源プレーンの電圧が降下する IR ドロップは、PI の一般的な懸念事項です。パワー・エレクトロニクスの電圧に高周波の変動が生じるスイッチング・ノイズは、干渉や SI の問題を引き起こす場合があります。デカップリング・コンデンサーを配置することで、ノイズを抑制して広がりを防ぐことができます。
3D フルウェーブ・シミュレーションは、解析的近似値を使わずに素子とその電子系の完全な挙動をとらえます。このシミュレーションには、ケーブル、差動ペアまたは損失伝送路を持つ回路基板、チップ・パッケージが含まれ、2D シミュレーションや回路シミュレーションではとらえられない潜在的問題を、物理的な試作品を作るずっと前の段階で明らかにします。3D ビジュアライゼーションの力で、シグナル・インテグリティの問題を早期に特定し、問題の根本原因を見つけて緩和できます。
広帯域マクロモデリング
電子装置一式のシグナル・インテグリティ/パワー・インテグリティ(SI/PI)を正確にシミュレーションするには、信号や電力の劣化を引き起こす効果すべてを考慮しなければなりません。たとえば、配線の寄生効果、周辺の配線からのカップリング干渉、材料特性(不連続、分散、非理想)による反射などです。
デジタル・システムのシグナル/パワー・インテグリティ
広帯域マクロモデリングは、複雑な電子装置をモデリングする場合の非常に効率的な手法です。マクロモデリングでは、個々の構成要素の 3D 電磁界シミュレーション結果を等価モデルに変換します。このモデルを、一般的な回路シミュレーター(SPICE など)の「ブロック」として使用することで、信号低下効果など、システムレベルの詳細な SI/PI 解析を実施できます。
広帯域マクロモデリングは、SIMULIA ツールの CST Studio Suite と IdEM を使用して実行できます。IdEM は、CST Studio Suite のフルウェーブ・シミュレーションの散乱パラメータ(S-パラメータ)に基づき正確なマクロモデルを抽出します。極めて重要なことですが、リアルな数値シミュレーションの場合、IdEM を使えば受動的(信号の増幅や全電力の増大をしない)かつ原因である(出力信号が入力信号に先行しない) SPICE モデルを確実に抽出できます。
さあ、始めましょう
シグナル/パワー・インテグリティ・シミュレーションの世界は、テクノロジーの進歩、革新的な方法論、発展を続ける産業需要によって変わりつつあります。SIMULIA で一歩先を行きましょう。今すぐご確認ください。
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