電磁両立性シミュレーション
EMC 規格適合性を仮想的に試験
電磁両立性とは
電磁両立性(EMC)とは、電子機器がその環境内で、他の機器に干渉することなく、意図したとおりに動作できることを言います。電磁障害(EMI)の制御は、あらゆる電子機器の開発に不可欠です。 法律により、製品は EMC 国際規格に従うことが定められています。これは、商用の電気/電子装置の EM エミッション(電磁妨害波の放出)と感受性を規制するものです。優れた製品は、EMC と、他社に勝る設計要件(サイズ、コスト、性能など)の間でバランスをとらなければなりません。エンジニアにとって、これは大きな課題です。EMI の潜在的な問題を早い段階で見つけられれば、設計工程が破綻する可能性を下げられます。プロジェクトの初期段階で EMC に適合することにより、後から時間や費用をかけて何度も開発を繰り返す必要がなくなります。
EMC 認証
電磁両立性(EMC)規制は、機器が他の電子機器の妨げとなる電磁場を放出してはならないこと、また、周囲の機器や、落雷、電磁パルスなどの電磁環境効果(E3)からの電磁障害(EMI)に耐えられるようにすることを定めています。これらの規制を遵守するために、電子製品は発売前に EMC 試験を受け、認証を受ける必要があります。認証を受けた製品は、規制に適合していることを示すと同時に、電磁環境において電気系統が適切に機能することを保証します。
設計早期に EMC に適合することのメリット
設計の初期段階で EMC に対応することで、後から開発を繰り返すことによる時間と費用を節約できます。起こり得る EMC の問題すべてを早期に特定して対処できるため、設計全体をよりよく最適化することもできます。
EMC に向けたシミュレーションの役割
エンジニアは電磁界シミュレーションを通して、回路上の電流の流れから、同じ敷地内に設置されたアンテナ間の電磁場の伝播まで、機器の中の EMC が関わるあらゆる側面を詳細に把握できます。これにより、試験の前に潜在的な問題を特定し、解決します。また、開発にかかる時間と費用の削減のみならず、MIL-STD などの各種規格を基準とする EMC 規制試験に落ちるリスクも削減します。SIMULIA のシミュレーション・ポートフォリオには、高速で正確な 3D ソルバーを使用した、干渉および EMC 解析のためのさまざまな専用ツールが用意されています。
EMC ソフトウェアの用途:
- EMC ルール・チェック
- EMC バーチャル・テスト
- コサイト干渉解析
- E3 - 電磁環境効果
- ケーブル・ハーネス・シミュレーション
CST Studio Suite テクノロジーがあれば、EMC カテゴリーに関連するエミッション(電磁妨害波の放出)と感受性を調査できます。また、その卓越した機能により、大規模かつ複雑なセットアップに効率よく対処できるほか、特定の問題クラス(ケーブルなど)に特化した多数のソルバーから最適なものを選べるため、系レベルの影響も調査できます。
EMC/EMI の用途
- クロストークと感度低下
- 気中放電法
- 接触放電法
- バルク電流注入
携帯電話のクロストークと感度低下のシミュレーション
このインタラクティブなインフォグラフィックでは、携帯電話の設計に影響を与える電磁両立性(EMC)とシグナル・インテグリティ(SI)の問題を短い動画で説明しています。
USB 3.2 のデータ転送速度は、最大 20 GBit/s です。このような高速信号が生み出す広帯域雑音は、無線周波数(RF)でも他の電子装置に影響を及ぼす可能性があり、RF 感度低下やクロストークを引き起こすことが少なくありません。
電磁界シミュレーションを使用して、デバイス内部の電流および電磁場の分布を解析し、それらがどのように伝播し、干渉の問題を引き起こす可能性のある結合経路がどれかを特定することができます。この情報に基づいて、トレースの配線を改善し、ビア・フェンスなどの干渉緩和用のコンポーネントを追加できます。
ESD 試験シミュレーション - 気中放電法
気中放電法では、試験発生器の帯電電極を測定対象機器(DUT)に近づけ、火花で放電を起こします。本資料では、静電気放電(ESD)試験のセットアップを SIMULIA CST Studio Suite でモデリングし、IEC 規格の IEC 61000-4-2 に規定されているとおり、異なる試験レベルで気中放電のシミュレーションを実行しています。
ESD 試験シミュレーション - 接触放電法
接触放電法による静電気放電試験では、試験発生器の帯電電極を被試験機器(EUT)の導電部に直接接触させ、発生器の放電スイッチを入れて放電します。IEC 61000-4-2 に、ESD 発生器による注入波形の較正手順が記載されています。このシミュレーションでは、被試験機器の波形特性と発生器の理想的な波形特性を比較します。
バルク電流注入
バルク電流注入(BCI)法は、電子機器のイミュニティ(耐性)を調べる非侵襲的な手法です。このシミュレーションでは、電磁場を使って雑音信号を機器に結合します。
一般的なバルク電流注入試験のシミュレーション実行方法をご確認ください。
さあ、始めましょう
電磁両立性シミュレーションの世界は、テクノロジーの進歩、革新的な方法論、発展を続ける産業需要によって変わりつつあります。SIMULIA で一歩先を行きましょう。今すぐご確認ください。
EMC と EMI に関する FAQ
電磁障害(EMI)とは、電磁場が引き起こす混乱(一般的には雑音とみなされるもの)を指します。電子機器の性能に影響を及ぼし、データ損失や誤動作の原因となります。EMI の発生源はいろいろあります。
電磁放射(EMR)は、発生源から電磁波の形で放出または放射される電磁エネルギーです。EMR の発生源は、太陽熱の放射のような自然物、通信アンテナのように意図的に作られた人工物、または電子機器から放出される高周波のように意図的でないケースなど、さまざまです。いずれにしても、これらは EMI の発生源となり、業務に混乱をもたらす原因となります。 以上のことから、EMR は電磁機器の動作を妨げる事象といえます。
EMC 試験の目的は 2 つあります。一つは、機器が引き起こす電磁障害(EMI)を評価し、電磁環境の中でその機器が他の機器の機能を妨害しないか確かめることです。
もう一つは、EMC 試験を通して機器の EMI イミュニティ(耐性)を評価し、外部の電磁妨害や電磁雑音にさらされても機器が正常に機能するか確かめることです。これには、一般的な干渉(同一周波数帯域で動作する機器など)と極端なシナリオ(落雷や電磁パルスなど)の両方が含まれます。
EMC 試験の目標は、規制機関が定める関連規格に機器が適合していることを証明する認証を得ることです。
電磁障害(EMI)は、電磁妨害により引き起こされる、機器、伝送路、または系の性能低下と定義されています(IEV 161-01-07)。
電磁両立性(EMC)は、機器や系が、その電磁環境内の許容範囲を超える電磁障害を引き起こすことなく、十分に機能することができる能力です(IEV 161-01-07)。
EMC は、電気系統が EMI を引き起こさないよう、ルールや制限を定めたものです。EMC 試験では、民間利用か軍事利用かにより、IEC、MIL-STD、CISPR、FCC Part 15 などの規格を基準として、機器の感受性またはイミュニティ、およびその機器の放射エミッションを評価します。
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