電気機械シミュレーション
電気モーター、発電機、変圧器のシミュレーション
電気機械のシミュレーション
電気機械とは
電気機械は、機械エネルギーを電気エネルギーに変換・分配したり(発電機)、電気エネルギーを機械エネルギーに変換したり(モーター)するための機械です。電気機械は実にさまざまな形で私たちの現代生活をサポートしており、より持続可能な未来に向けて、炭素排出量の削減と電化の促進を両立させるために欠かせないものです。資源消費を最小限に抑えるためには、電気機械のエネルギー効率を大幅に向上することが不可欠です。
電気機械シミュレーションのメリット
電磁界シミュレーションは、次のようなサポートを通して性能目標と持続可能性目標を実現します。
- 効率的な電気モーターを少ない材料で作れるよう支援します。
- 効率性を向上します。
- 騒音・振動を減らします。
エンジニアは、求められる運用体制の中で電磁設計を最適化して効率性を大幅に向上し、競合する設計要素間で最良の妥協点を見つけることができます。
電気エンジンのシミュレーション
電気エンジンは、その名が示すようにマルチフィジックス・シミュレーション能力を要する複雑な装置です。電磁力は電気モーター内でトルクに変換されます。反対に、発電機は機械的回転から電磁力を生み出します。最新の電気自動車では、同じ電気トラクション・モーターが発電機としても機能し、回生ブレーキを通してエネルギーを回収します。この 2 つの間の変換を解析するには、時間に沿って変化する機械の挙動をとらえるモーション解析が必要です。
トルク・リップルは機械に騒音や振動を生じさせることがあります。また、電気機械内部に大電流が流れると相当な熱が発生します。電気力と機械力の結合を正確に評価するには、包括的な材料モデリング・オプションが必要です。モデリング・オプションには、精密に作られた導体における従来の電気損失に加え、使用中の材料の着磁/消磁効果も含まれます。渦電流、ヒステリシス、過剰/回転損失などの鉄損を、シミュレーションの中で陽的に考慮することもできます。こうした損失は機械の熱解析に使用できます。
電気駆動のシステム・シミュレーション
電気機械は常により大きなシステムの一部であり、一方には電気回路とコントローラーが、もう一方には伝達機構とギアボックスがあります。コントローラーを含めてシステム全体を表すものに、FMU (ファンクショナル・モックアップ・ユニット)としてシミュレーション・モデルを接続することで、現実世界のシナリオにおける機械の挙動を系統立ててシミュレーションできます。
シミュレーションで計算できる電気機械 KPI には、次のものがあります。
- 効率
- インダクタンス
- 飽和曲線
- 短絡解析
- 開回路解析
- 突入電流/荷重試験
- 電源投入時の過渡電流
- 損失 - 銅、渦電流、ヒステリシス
- コイルに対する動的力
- 騒音・振動
電気機械シミュレーションの用途
- 効率マップ
- 電源投入時の過渡電流
- 浮遊磁場とシールド解析
- 騒音・振動
- システム・モデリング
効率マップ
運用コストの削減、航続距離の増加、持続可能性目標の達成には、優れたエネルギー効率が不可欠です。シミュレーションを使うことで、電気機械を最適化して効率を高めることができます。通常、効率は速度やトルクによって変化します。シミュレーションを自動化することで、物理的な試験に時間やコストをかけずに、運用体制全体の効率をすばやく計算してマッピングすることができます。
電源投入時の過渡電流と流入電流
機械の電源を入れると、電流がコイルに流入します。この電流は、機械の定常状態とは異なる過渡効果を生み出します。時間領域のシミュレーションは、最初の重要局面における機械の挙動をモデリングし、定常状態から最適性能に到達するようにします。
浮遊磁場とシールド解析
大型のモーターや発電機内部の磁場強度が高い場合、こうした磁場が高感度機器に干渉することがあります。シールドで電磁場の漏洩を防ぐことができますが、コストも重量もアップします。シミュレーションを使えば、漏洩が最も深刻な場所を重点的に遮蔽するようシールドを最適化して、電磁両立性(EMC)と重量の要件を同時に満たすことができます。
騒音・振動
さまざまな用途の中でも、家電と電気自動車向けのモーターは特に、最重要 KPI に騒音・振動対策が入っています。騒音は、磁気効果(コギング・トルク等)、機械的効果(軸受等)、風(機械内の空気の流れ)によって発生します。マルチフィジックス・シミュレーションは、こうした複数の発生源をモデリングし、騒音と振動を最小限に抑えたり、緩和したりするうえで役立ちます。
システム・モデリング
多くの場合、電気機械は電子システムで制御されています。このシステムは、モーターの必要荷重と動作速度に合わせて電力を供給します。性能を把握するにはコントローラーを考慮する必要がありますが、システム・シミュレーションでは、システム全体を表すものに電気機械モデルを統合し、リアルな荷重条件下でトルクと効率をモデリングできます。
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電気機械シミュレーションに関する FAQ
電気モーターは、電気エネルギーを機械的な動きに変換します。この動きは、直線モーターなら直進、回転モーターなら回転です。モーターの基本的な動作原理は、電流が流れ、磁界にさらされたワイヤーにかかる力に基づきます。ローレンツ力とも呼ばれるこの力は、電流が流れる方向と磁束密度(右手の法則で計算可能)で指定される方向へ動きを起こします。
電気モーターは主に 2 つに分類されます。名前が示すように、DC (直流)モーターは直流電流で駆動し、AC (交流)モーターは交流電流で駆動します。昔からあるブラシ付き DC モーターは、電力をローターに供給します。このとき、ブラシと整流子を接触させ、電流方向を切り替える必要があります。ブラシレスの DC モーター(BLDC モーター)は、電子回路を使ってステーターの巻線で直流電流を切り替えます。ローターは永久磁石になっており、メンテナンスが少なくて済みます。
AC モーターは、さらに 2 つに分類されます。非同期モーターは誘導モーターとも呼ばれ、ローターの速度とステーターの磁界(スリップ)の速度差を利用します。同期モーターでは、ローターの速度とステーターの中の回転磁界の速度は等しくなります。永久磁石同期モーター(PMSM)は、電気自動車の分野で人気を得ているタイプの AC モーターの一種です。
モーターは、内燃エンジンの接近スイッチから電気トラクション・モーターまで、現代の車のあちこちで見られます。ワイパー、ブロワー、ファン、各種ポンプなどの基本機能から、電動シート調整、ウィンドウ、ドア・オープナーなどの便利な機能まで、いたるところにモーターが使われています。家の中を見渡しても、モーター駆動の家電製品があふれています。モーターは工業オートメーションやロボット工学になくてはならないものです。
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