Simpack でベアリングをシミュレーション

ベアリング(軸受)は、動力伝達装置の中で最も頻繁に使われる機械要素です。転がり軸受の設計が不完全だと、軸受本体と駆動系の両方が傷みやすくなり、最悪の場合は連鎖反応によって系全体が壊れてしまいます。Simpack Bearing モジュールは、ボールベアリング、シリンダーベアリング、バレルベアリングのほか、ジャーナルベアリング、弾性流体軸受など、さまざまなタイプの転がり軸受をモデリングできます。

Journal Bearing

Journal Bearing はForce要素です。剛性と減衰の非線形法則を用いたラジアル・ジャーナル軸受やアキシアル・ジャーナル軸受のモデリングに使用します。このForce要素では、2 つのマーカーのみに作用する力法則が十分でない場合に、任意のラジアル/アキシアル軸受をモデリングできます。Simpack Journal Bearing は、シェル上の複数のマーカーとシャフト上のセンター・マーカーとの間で作用します。複数のForce要素を連続的に追加することで、3 次元効果を得られます。

Elastohydrodynamic Bearing

このForce要素は、レイノルズ方程式を正確かつ効率的に解くことにより流体軸受のシミュレーションに使えます。この要素には、剛体の流体力学(HD)、片面の弾性流体力学(EHD)、両面の弾性流体力学(DEHD)が含まれます。軸受と周囲の固体において全体的な温度効果(TEHD)を考慮することができます。油穴や油溝について検討しやすいよう、パラメータが特別に設計されており、任意の詳細レベルでシミュレーションを実行できます。ピストン・リングの動力学シミュレーションも可能です。

BEARINX®

Simpack BEARINX Map for Rolling Bearings は、Schaeffler Technologies 社の BEARINX® ソフトウェアを Simpack で使用できるようにするモジュールです。BEARINX® では、さまざまな転がり軸受の軸受力と軸受トルクを正確に計算できます。
非線形剛性、カップリング効果、軸受隙間は、Schaeffler Technologies 社が提供している BEARINX Map (.bxm)ファイルの特性フィールドに記述します。

Simpack Rolling Bearings

転がり軸受の設計や選定にまつわる障壁

ベアリング(軸受)は、動力伝達装置の中で最も頻繁に使われる機械要素です。転がり軸受の設計が不完全だと、軸受本体と駆動系の両方が傷みやすくなり、最悪の場合は連鎖反応によって系全体が壊れてしまいます。きめ細かな基礎研究活動を通して(パルムグレン、ルンドベルグ、ガートナーなどによる。[1]、[3]、[4]を参照)、標準化された公式が発表されました。これらの公式を使うと、エンジニアは荷重スペクトル法により、許容荷重に関して適切な軸受の設計・選定を行えるようになります。信頼性の高い平均寿命を計算するには、荷重スペクトルができるだけ現実的である必要があります。ただし、未知の作業負荷や、軸受と系の間の複雑な相互作用により、必要なベアリング荷重を推定することは困難です。加えて、アコースティック・エミッションの低減や詳細な伝達経路解析に対するニーズが高まっており、転がり軸受の細かな動力学や、システム力学に対する影響を追求することの障壁となっています。このような複雑な問題すべてを網羅するため、エンジニアは転がり軸受と系の動的解析のための強力なツールを求めていました。

Simpack Rolling Bearing Elements

上述したような転がり軸受解析の障壁に対処するため、Simpack が提供しているForce要素が「Rolling Bearing」です。このForce要素は、内部形状を考慮しながらころの接触を解決することで、一般的なすべてのタイプの転がり軸受を効率よく解析します。一方で、この手法では軸受の詳細な伝達挙動が考慮されます。非線形剛性特性、隙間、クロスカップリングを計算に含めるためです。また、(ころが負荷圏を通過することなどによる)軸受の励振もカバーされます。このForce要素は効率性に優れ、軸受の伝達や励振の効果も計算に含まれるため、エンジニアは転がり軸受とシステム全体の相互作用を考慮した、リアルな荷重スペクトルを生成することができます。許容荷重、軽量構造、アコースティック・エミッションの観点から考えると、この要素を使えば最良の軸受を容易に設計し、選定できると言えます。

 サポートされている軸受のタイプ

  • ボールベアリング: 深溝、アンギュラ、スラスト、4 点接触
  • シリンダーベアリング/ニードルベアリング: ラジアル、スラスト
  • テーパーローラーベアリング
  • バレルベアリングやスフェリカルローラーベアリング

Rolling Bearing の主な機能

  • 内部形状を考慮した局所接触評価: 非線形剛性、クロスカップリング、隙間
  • 完全カスタマイズが可能(ピッチ円直径、ころの数、ころの直径、溝の半径、ころの形状、テーパー角…)
  • 列単位のモデリングという考え方: 必要な数の軸受列を設計
  • ユーザー定義の摩擦: 荷重依存性の摩擦部分と荷重非依存性の摩擦部分、速度依存性の摩擦係数
  • 局所接触減衰
  • 過減衰の転がり軸受をセットアップするリスクを大幅に低減
  • 多列軸受にも対応する柔軟な軸受
  • リアルタイム機能(Simpackのドキュメントで提供されているサンプルモデルを参照)
  • 高性能なForce要素による全体論的なシミュレーション

Rolling Bearing の解析と出力

  • スタンドアロン・モデルとして、また完全な系の一部として、転がり軸受の高速、ロバスト、高精度なシミュレーション
  • ラジアル、アキシアル、ティルト荷重を全体に適用
  • ラジアル荷重とアキシアル荷重をころ単位で適用
  • 軸受全体のたわみ、ころのたわみ
  • 接触圧力
  • 荷重分布(ISO16281 [4]に基づく修正参照定格寿命の計算など)
  • 動力損失および摩擦トルク
  • Simpack が提供する一般的な弾性体出力(弾性体解析モジュールを参照)

スタンドアロンおよび全体論的な軸受シミュレーションの例

可変ころ形状を用いた荷重分布解析: 
参考文献: 
[1]ガートナー: Ueber die Lebensdauer von Kugellagern, Dinglers Polytechnisches Journal(1918 年)
[2]パルムグレン A.: Ball and roller bearing engineering. 2nd Edition. S.H. Burband & Co., Inc., Philadelphia (1945 年)
[3] ISO 16281: Rolling bearings — Methods for calculating the modified reference rating life for universally loaded bearings.(転がり軸受-合成荷重負荷時の補正定格寿命計算方法)ISO 16281、技術仕様書(2018 年 6 月)
[4]シュレヒト B.: Maschinenelemente 2: Getriebe, Verzahnungen, Lagerungen. München: Pearson Studium (2010 年)
 

その他の情報

Simpack
マルチボディ・システム・シミュレーション・ソフトウェア
Automotive モジュール
Simpack Automotiveモジュールによる車両運動シミュレーション
コア・モジュール
Simpack マルチボディ・システム・シミュレーションのコア機能
Biomotion モジュール
Simpack で人と技術機器の相互作用をシミュレーション
Drivetrain モジュール
Simpack でドライブトレインシステムをシミュレーション
Engine モジュール
Simpack によるエンジン挙動シミュレーション
弾性体解析モジュール
弾性体を用いた Simpack マルチボディ・システム・シミュレーション
一般アドオンモジュール
Simpack 機能を拡張
Rail モジュール
Simpack によるレールガイドシステムのマルチボディ・システム・シミュレーション
Realtime モジュール
Simpack のハードウェア・イン・ザ・ループ(HiL)/マン・イン・ザ・ループ(MiL)シミュレーション
Wind モジュール
Simpack は、風力タービンのダイナミクスをシミュレートします。

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