持続可能な都市を実現するための行動
急速に進む都市化に都市が適応する方法とは?
アーバン・ルネサンス
ダッソー・システムズは、世界規模で社会が直面している環境問題に対する意識を高めるためのイニシアティブ「The Only Progress is Human (未来を拓くのは、人間)」の一環として、オンラインイベント、アーバン・ルネサンスを開催しました。このイベントを通してダッソー・システムズが描く理想の都市のアイデアを共有することで、都市の課題に対する人々の認識が高まり、未来のための持続可能なソリューションの創出につながればと考えています。
イベントでは、ダッソー・システムズが描く未来の都市のビジョンを、韓国人アーティストYiyun Kang氏が東大門デザインプラザに3Dプロジェクションマッピングで投影しました。東大門デザインプラザは、建築設計事務所ザハ・ハディド・アーキテクツ(Zaha Hadid Architects)がダッソー・システムズのCATIAを活用して設計したソウルのランドマークです。
都市の持続可能性が重要な理由
世界的な人口増加と気候変動に伴い、都市部は、持続可能な開発にとって重要な課題と機会をもたらす場となっています。
国連の持続可能な開発目標(SDGs)の目標11「住み続けられるまちづくりを」では、インクルーシブ、安全、レジリエント、サステナブルな都市および居住を実現することがテーマとされます。この目標、テーマが設定された理由は、主に以下の3つにあります。
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世界の都市人口率が、2050年までに68%になると予測される
世界のCO2排出量の75%が都市部に起因している
世界の人口が、2050年までに20億人増えると予測される
世界で都市化が進む中、都市の持続可能を高めるには、住民、企業、政府、自治体の集合知を活用することが、これまでになく重要です。そして都市の持続可能性は、以下を行うことで高まります。
- サステナブルな資材、方法で、サステナブルな建設物を建てる
- 未来を見据えた都市づくりに住民が関与する
- モビリティ、農業、環境に優しいエネルギーについて新たなソリューションを生み出す
これらは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成につながる、よりサステナブルで健康な暮らしを推進する鍵です。
そして、この鍵となる事柄に取り組み、進展させるには、データドリブン、コラボレーティブ、持続可能な都市計画が不可欠です。
ダッソー・システムズのバーチャルツイン・エクスペリエンス
は、バーチャルな環境下で個々の建物、特定のインフラ、都市全体をモデリング、シミュレーション、可視化、検証することで、実世界の改善を最適化します。
都市の持続可能性を高める主な取り組み
- エネルギー
- 都市交通とモビリティ
- 建設
- 建設資材
- 都市農業
- 健康都市
- 住民参加
分散型で、より環境に配慮したエネルギーシステムを考案する
都市部では、モビリティ、冷暖房、照明などにエネルギーが欠かせません。世界のエネルギーの3分の2は都市部で消費されています。そのため、都市のエネルギーシステムを見直すことが必須であり、また、以下を行うことでエネルギーシステムの持続可能性をさらに高める必要があります。
- 集中型エネルギーシステムからの脱却と、自立分散型エネルギーシステムの構築
- 都市や住民に付加的な収入ももたらす、太陽光など再生可能エネルギーによる発電の促進
- 革新的な蓄電ソリューションや、再生可能エネルギー源による安定的な電力の供給
都市交通とモビリティの改善
都市化が進む中、以下のようなことが求められています。
- 家庭、職場、その他さまざまな施設の距離の短縮
- よりサステナブルな交通手段
- 都市計画の進化: クルマは、個人所有の資産というよりも、MaaS(サービスとしてのモビリティ)となりつつあります。それに伴い、マルチモーダルモビリティサービスが普及します。つまり、新たな交通パターンによる、環境に配慮した新習慣を促進するために、都市計画は進化しなければなりません。
ダッソー・システムズのソリューションなら、効率的なプロジェクト管理とシミュレーションを通して都市計画を推進することができます。また、計画の初期から戦略を立案し、次世代のアーバン・モビリティを実現することができます。
サステナブルな設計や資材で、サステナブルな建設を実現する
都市環境の発展に伴い、インフラや建物も進化します。建設業者や建築家は、複雑さを増す仕様に対応しつつコストを削減し、かつ、ユニークでサステナブルな建設物を設計することが求められています。
そのためには、建設物は、共通基盤の変化に対応できる着想や設計のもとに造られなければなりません。
未来に向けた建設物の設計をサポートするのが、ダッソー・システムズのバーチャルツイン・エクスペリエンスです。建設も自動車やその他の工業製品と同様、同じ構造を様々な箇所に流用することで、コストを削減し、資材を最適化し、完成までの期間を短縮することができます。バーチャルツイン・エクスペリエンスとジェネレーティブデザインが、このような戦略とることを可能にします。
サーキュラリティを原則とした建設資材
建設により生じる排出物の80%~90%は、建設資材に起因します。
また、昨今のサプライチェーンの危機により資材コストが高騰しているため、建設業者はより適応力、独創性を持って資材を選択する必要があります。これは、未来に向けた都市づくりにおける課題の一つです。
この課題を解決するには、サーキュラリティを新たな基本原則として、資材の選択および使用を見直すことが急務です。
資材の種類や量に応じた建物の耐久性について、科学的で正確なシミュレーションを行うことで、建設業者は資材の無駄を省き、コストを削減することができます。
ダッソー・システムズのサステナビリティに貢献するインフォメーション・インテリジェンスのアプリケーション群は、温室効果ガスの影響を考慮した、より持続可能な設計をサポートします。
資源が枯渇しつつあり、また、世間でCO2排出に対する関心が高まる中、「リパーパス、リユース、リサイクル」を全ての建設業者のモットーとしなければなりません。
都市により近い場所で農作物を育てる
世界人口が増え続ける中、世界の都市も拡大しており、従来の農産地に依存することなく食糧需要の増加に対応し、農業を進化させる必要があります。農業について、現在、以下のようなソリューションが存在します。
- 都市型農業に有効な垂直農法
- 収穫量を増やす精密農業
- 各地の植生や気候を考慮した新しい農業技術
ダッソー・システムズのバーチャルツインなら、農作物の生育に最適な環境を見出し、運用シミュレーションで時間のかかる実地試験を省き、全体的な効率を高めることができます。
健康都市:都市の人口増加に対応する
都市の人口の増加に伴い、生活の質の向上という要望も高まります。都市は、発展し続ける安全な環境であることが求められますが、そのためには以下のことが必要です。
- 衛生的な飲料水と持続可能な発電による電力
- CO2排出量と交通量の抑制
- 自然災害(水害、地震など)からの建物の保護
- 公園、保育園、老人ホーム、病院、公共交通機関など、生活の質を高めるサービス全般
未来の都市は、耐久性が高くレジリエントである必要があります。ダッソー・システムズのバーチャルツインを都市・インフラの課題の解決に活用すれば、新しいソリューションを現実の都市で展開する前に、さまざまな場面を想定した実験をバーチャルに行うことができるので、レジリエントな都市づくりに役立ちます。
住民参加型の都市開発
住民の参加は、都市の持続可能性を高めるために重要です。
都市開発プロジェクトを最適化し、住民の支持を得るために、行政は、未来の都市の定義を定める段階で、より効率的かつ効果的に住民が参加する方法を見出す必要があります。
都市エリアの改善は、都市のメリットを将来的に享受する人々にかかっており、目下のところ、学生コンテスト、企画の募集、市民や企業、団体との協働などを通して行われています。
持続可能な都市を実現するための取り組み
世界中の企業が、都市の持続可能性を高めるためにダッソー・システムズのソリューションを活用しています。以下の事例をご覧ください。