吸気系は、吸気シュノーケル、エア・ボックス、エア・フィルター、チューブなどの複数の主要な構成部品から成っています。これらは熱交換器から発せられる熱気にさらされたアンダーフードの環境にあるため、高温になりすぎた熱気を引き込まないように吸気シュノーケルを適切に配置する必要があります。それに加えて、周囲の高温部品から吸気への伝導およびふく射による熱伝達を制御し、RoA値を設計の制限値の範囲内に収める必要があります。さらに、吸気系を最適化する場合は、水/雪の吸い込みや騒音特性といったその他の車両設計要件を検討しなければなりません。
車両のアンダーフードの流れ場および温度場の複雑性を考慮すると、物理的なテストを介して得られる限られた測定データに基づいて吸気系全体を設計することで、これらのエンジニアリング目標を達成することは困難です。一般的に、試行錯誤を繰り返して許容可能な設計を特定するには、複数の試作品を作成してテストする必要があります。それに加えて、最終段階で設計変更が発生した場合、車両開発のコストが大きく膨れ上がります。このため、車両開発の初期段階で吸気系を最適化できるように、RoA値を予測するためのシミュレーション手法を持っていることが重要になります。このシミュレーション手法は、アンダーフードの流れ予測に関与する複雑な物理特性を取り込める程度に高度なものでなければなりません。それと同時に、車両運転サイクルに関連付けられた比較的長い物理的な時間スケールに対処できる程度の計算効率を備えている必要もあります。