PowerFLOW:電子装置およびバッテリーの冷却

 

対象の業界:自動車、モータースポーツ、商用車、オフハイウェイ車両、鉄道車両

 

車両の電動化は、現代のエンジニアリング研究開発における大きな課題のひとつとなっています。テクノロジーはまだ初期段階にありますが、ハイブリッド自動車と電気自動車は普及し始め、バッテリー・システムは重要な構成部品のひとつです。日々の使用に問題のないレベルの電力を供給しなければならず、10年以上の耐久性が必要です。また、可能な限り小型かつ軽量で、耐火性にも優れ、有害物質放出の恐れがないものでなければなりません。車両の走行距離要件およびバッテリー寿命の要件を満たすには、バッテリーを厳格な動作温度範囲内に収めることが不可欠です。グローバリゼーションによる仕様の増加により、車両や車両プラットフォームは非常に広範な温度範囲で機能しなければならなくなり、課題がさらに広がっています。

技術面での課題

熱マネージメントは、バッテリーの性能、寿命、安全性に大きな影響を及ぼします。リチウムイオン・バッテリーは定められた温度範囲内(15°C~40°C、セル・モジュール内の温度変化2°C)で動作する必要があります。バッテリーの動作温度の制限は、周囲温度や他のアンダーフード構成部品の温度によって大きく異なります。ハイブリッド自動車と電気自動車の車輪は電動機駆動式であることが多く、バッテリーを車両内のどこにでも配置できますが、一般的には、冷却空気流がほとんどない、非常に狭い空間に配置します。長年をかけて蓄積されてきた、従来のバッテリー冷却に関するエンジニアリングのナレッジベースでは対応できなくなってきています。このため、エンジニアリング組織は実用的でコスト効率の高いソリューションを見いだそうと奮闘しています。

SIMULIAソリューション

SIMULIAの包括的なバッテリー熱マネージメントソリューションを使用すると、セル、モジュール、パック・レベルで熱性能を評価できます。PowerTHERMのオプションのバッテリー・セル・モジュールは、セル表面の2次元温度分布をバッテリーの電流に応じて予測するため、排熱をより正確に予測できます。バッテリー・モジュールのレベルでは、セルの温度分布を、バッテリー・モジュール内の冷却流れのPowerFLOWによる非常に正確な非定常シミュレーションと連成します。これによって、内部設計を最適化し、温度勾配を最小限に抑えることができます。こうした解析をバッテリー・パック全体に拡大し、車両の他の構成部品や、バッテリーの動作を制御する電気系システムとの熱相互作用を評価できます。

バッテリー冷却のためのSIMULIAシミュレーションにより、以下が可能になります。

  • 幅広い車両運転条件を対象に、車両設置条件の下、バッテリーの熱性能を予測する。
  • バッテリー・モジュール/パックの設計を改善し、効率を向上させる。
  • さまざまなバッテリー・パッケージングのコンセプトを、熱動作範囲および他の要件とのトレードオフ(重量分布や空力抵抗など)に照らして迅速に解析する。