冷却風流れの正確な予測には、実際の車両走行条件のもとで熱マネージメントシステムの性能を正確に予測する必要があります。エンジンルームの流動パターンと温度分布は、非常に複雑で非定常です。これは、ラムエアと冷却ファンの気流が複雑に交わるとともに、熱システムからの放熱で空気密度と温度が変化することが原因です。また、車両の走行状況や精密な形状も大きく関係します。このため、高忠実度のシミュレーションを実行し、冷却風流れの予測に関連する物理特性を捉えることが不可欠です。
システム設計上の課題は、車両の熱マネージメントです。最新型の車両によく採用される複数の熱交換器や、エンジンルームにある冷却ファンやシュラウド、エンジン・ブロックなどの構成部品、さらにシステムレベルのコントローラなどが複雑に作用し合っているためです。システムレベルで性能を最適化するためには、システム全体の解析が必須です。