Aピラーやサイド・ミラー、その他の車体形状を決定する場合、汚れや雨水対策と同時に、車両の空力と空力音響についても検討が重ねられます。水、泥、雪、ブレーキ・ダストなどの外来粒子の付着をできるだけ防止するには、車体表面や構成部品をきめ細かく設計する必要があります。一般的に、こうした種類の性能評価には、非常に精巧な試作品が必要です。しかし、それは設計プロセスの最終段階にならないと完成しません。最終段階で問題を解決しようとすると、エンジニアリングのやり直しや装備の入れ替え、部品の追加などで莫大な費用が発生します。粒子の付着や侵入の主な防止対策(車体表面の形状やエンジンルームのレイアウトなど)に関する情報は、設計の初期段階で確認する必要があります。精巧な物理的試作品を作る前に、レイン・ガーターや吸気口などの詳細な部品設計の影響を理解することで、目標とする性能と安全性を備えた車両を設計することができます。
空力シミュレーションを利用すると、必要な情報を得ることができますが、実際にシミュレーションするのは容易ではありません。空気中や表面での粒子の動きに影響を与える形状のデータが必要になるからです。粒子の流れは非定常の乱流効果の影響を受けやすいため、空気流と粒子の軌道の正確なシミュレーション技術が求められます。