負荷シミュレーション向けPowerFLOW

 

航空機向け空力負荷シミュレーション

 

航空機翼の設計では、抵抗と重量の適切なトレードオフを特定することが重要な課題です。遷音速翼を薄くすると抵抗は少なくなりますが重量が増えるため、航空機の性能は低下します。また空力負荷により翼が変形する様子が、窓から乗客に見えてしまうという問題もあります。

このような課題の適切な解決方法を、シミュレーションを通じて設計の初期段階で見つけることで、コストのかかるモデル作成や風洞実験を後工程で行う必要がなくなり、開発コストを大幅に削減できます。さらに、小型の構成部品(高揚力翼のスラットやフラップなど)に対する負荷を予測できるため、こうした構成部品に必要な支持構造の適切な寸法を確認して設計できます。その結果、大幅な軽量化が実現すると同時に、過剰設計も防止できます。

技術面での課題

航空機翼の性能と重量のトレードオフを把握するためには、空力負荷とその負荷に対する構造応答を予測する必要があります。そのためには、正確な流体ソルバーと構造解析ソルバー、さらに流体と構造の自動連成解析が必要です。流体ソルバーは、分散された空力負荷(静的または動的)を予測し、その負荷を適切な形式で構造解析ソルバーに受け渡し、翼のたわみを予測します。

現在使用されている多くのCFDツールでは、流体ソルバーと構造解析ソルバーが自動的に連成解析を行わないため、生産性が向上しません。そのため、ほとんどの場合、固定翼を前提に空力予測が行われていますが、これが過剰設計や高額なコストがかかる設計後期での修正につながる原因の一つとなっています。

 

SIMULIAソリューション

PowerFLOWには、正確な負荷予測に必要なすべてのコンポーネントが搭載されています。本質的に非定常で、静荷重や振動の原因になる表面の圧力変動を簡単かつ正確に予測します。また、翼全体あるいは個々の構成部品の変形の問題を予測できます。静荷重および過渡荷重は、構造解析ソルバーを使って連成解析し、静的変形や振動を計算できます。

PowerFLOWでは非常に詳細な形状構造も解析できるため、フラップやスラットなど小型部品の静的負荷を予測することが可能です。さらに、ブラケットやフェアリングなどの支持構造を最適化し、大幅な軽量化も実現します。