「未来の材料」の発見

生分解性プラスチックからナノスケール構造まで、新材料は私たちの生活を一変させるでしょう。ただしそれは、開発ができ、大規模に量産できればの話です。

未来の材料を受け入れるべき理由

 

 

 

 

ポッドキャスト

Manufacturing Industries on the Edge: Industries in the innovation age

私たちは技術革新の真っただ中にいます。製造業がそこに参加して利益を享受したいとのであれば、イノベーションを企業の中心に据えるために必要な人材を育成し、考え方を育成する必要があります。

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いま起きていること

石器時代から青銅器時代、鉄器時代から現在のシリコン時代まで、材料は最も基本的なレベルで、人間がテクノロジーを操る種として何ができるかを、定義してきました。考古学がこれらの用語を使用して過去の時代を表しているのには、理由があります。材料が文明の形や機能を定義するからです。

現代では、マテリアル・サイエンスの進歩が最も差し迫ったの課題に根本的な解決策を提示します。それは、可能な限り小さな粒子から世界を再構築すること、そして、今までになかった未来材料から、まったく新しい製品や革新的な製造プロセスを生み出すことです。 

「現在では、材料のイノベーションが進んでおり、非常に小さな原子や分子のレベルで進行しています。私たちの生活に地球規模の影響を与えるでしょう」と、ダッソー・システムズのパッケージ製品・小売業およびホーム・ライフスタイル業界担当バイス・プレジデント、Philippe Loeb は述べています。「製品は、最終的に、以前から存在していた原子や分子に行き着きます。重要なのは、科学を利用してどのように再構築し、再構成するかです」

この分野は活気があり、発展しています。植物由来のプラスチック、最先端のナノスケール構造、酸素を吸放出するセラミックス、木材のような古くからの主役の新たな用途まで、2020 年代の材料分野は興味深くて変化に富んでいます。  

政府も後押ししています。英国政府の発表によると、組織工学や原子炉のケーシングに使用する 3D バイオプリンティングなど新しい材料の研究に対して、2022 年 11 月だけで 9,500 万ポンド(約 1 億 800 万ドル)の資金を提供しました。

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それが重要である理由

新しい材料は、ただの「もの」ではありません。人類が末永く繁栄するための基盤であり、現在直面している最大の課題のいくつかを克服するうえで重要な役割を果たします。

持続可能性と持続可能なパッケージングの開発について考えてみましょう。非常に根本的なレベルで、持続可能性は素材の問題です。何をどのように消費するのか、製品設計の開発に責任を持ち、資源をより効率的に使用するにはどうすればよいのかなど、が基本的な問いです。

たとえば、プラスチックは最も広く普及している製品であり、社会を最も汚染している製品でもあります。毎年 4 億トン以上のプラスチックが廃棄物となっています。しかし、製品パッケージングに対するアプローチを変革すると、細菌で分解するプラスチックや、すぐに再利用できるプラスチックなど、持続可能な材料を製造することができます。 

これも、ある意味では材料に関する事例です。素材をより軽く、より強く、より柔軟にすることで、より長持ちする製品を作ることができ、同時に排出物や廃棄物を最小限に抑えることができます。 

「材料とエネルギーの関係は興味深いです。第一に、トラックや飛行機に使われる材料の軽量化を図ると、燃料消費を抑えることができます。しかし、材料自体の製造方法を変更し、低炭素製造プロセスを活用することも可能です」と Loeb は言います。 

たとえば、飛行機での移動は炭素を大量に消費することで有名で、脱炭素化が難しいことでも知られています。しかし、このような負担を軽減できる材料が新たに登場しました。ケンブリッジ大学の研究者たちは、複合材料 (強化プラスチックなど) を使用して製造された航空機は、アルミニウム製の同等物と比較して CO2 排出量を 20% 削減できることを発見しました。

同様に、オーストラリアの先端複合材料メーカーであるQuickstep は、時間がかかり、エネルギーを大量に消費して高価なオートクレーブ機を必要とせずに、複雑な複合材料を従来の製法と同じ生産水準で製造するプロセスを開発しました。このため、既存の航空宇宙生産サイクル時間内で、これらの高度な材料を利用できる可能性が高くなります。 

どのように備えるか

変更は簡単ではありません。新しい材料を使った実験は細心の注意を要するプロセスです。「シェフが調理中に調味料の量を変えてレシピを微調整するのと同じように、開発者も新しい材料を作るときに物質で実験をしています」と Loeb は言います。「組成の変更による効果と、それらが材料の性能に与える影響を理解し、モデル化します」

材料発見チームは、コスト効率が高く管理された方法でこのような実験を行い、新しいシミュレーション・テクノロジーを役立てています。実際、新素材の微細な構成要素を操作したり加工したりすることに関しては、製造業はかつてないほど優れた能力を備えている。

モデル化とシミュレーションのテクノロジーのおかげで、材料が特定の条件や力にどのように反応するかを、原子スケールまで正確に理解できるようになりました」と Loeb は言います。「AI と機械学習が、モデルをよりスマートかつ正確にしてくれました。画期的です」 

また、次々に出てくるプラスチック関連の新たな規制にメーカーが対応するためには、リフォーミュレーションも不可欠です。フランスでは、2022  年 2 月にプラスチック包装が全面禁止されました。関連業界は、競争力を維持するために生産の迅速な調整を迫られています。 

未来の材料の多様化は進んでおり、その挙動を正確に予測する能力が必要となります」と Loeb は言います。「金属の場合、私たちがすでに持っている知識と、カーボンナノ構造のようなものに関する開発知識を組み合わせることは、大きな可能性を秘めています」

たとえば Gerberit のような企業は、シミュレーション機能を使用して、セラミックベースの製品が実際の環境でどのように機能するかをテストし、適切な型と製造技法を作ることができました。 

作るのが簡単になれば、納期も短縮します。Loeb は話します。「シミュレーション・テクノロジーによって、新しい材料の市場投入までの時間が短縮されるでしょう。新しい材料の発見が迅速化するだけでなく、3D プリントなどの新しい技法で生産を拡大する速度も上がります。製造業界で今後 10 年間潜在能力を最大限発揮するためには不可欠でしょう」
 

モデル化とシミュレーションのテクノロジーのおかげで、材料が特定の条件や力にどのように反応するかを、原子スケールまで正確に理解できるようになりました。AI と機械学習が、モデルをよりスマートかつ正確にしてくれました。画期的です。

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Philippe Loeb
ダッソー・システムズ、パッケージ製品・小売業およびホーム・ライフスタイル業界担当バイス・プレジデント

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