ライフサイクルアセスメント: 環境への影響を測定するだけではありません
高度なデジタル化は、現時点での環境に及ぼす影響を測定するだけでなく、将来の意思決定による影響も測定することで、企業のカーボンニュートラルの目標達成を支えます。
緊急時には効果的なソリューションが求められます
カーボンニュートラルを目標に掲げることは最初のステップにすぎません。次のステップは、カーボンニュートラルを実際にどのように達成するかです。これは、ビジネスが環境に与える影響をエンドツーエンドで測定できるようにすることから始まります。
しかし、それが限界であってはなりません。ライフサイクル分析とも呼ばれる、ライフサイクルアセスメント(LCA)のツールやソフトウェアは、あらゆる意思決定を実行する前に、その持続可能性を評価することを可能にします。
Sustainable Innovation Intelligenceソリューション
製造業者は、より持続可能な未来のために、どのように計画を立てているのでしょうか?
80%1は、設計の段階で決まります。
経営幹部の56%が、持続可能性の原則を製品やサービスの開発に取り入れることの重要性を認識しています。
しかし、持続可能性のあらゆるメリットを最大化するために、製品やサービスの開発プロセスを見直した経営幹部は26%に過ぎません。
ライフサイクルアセスメントとは? なぜ必要なのか?
ライフサイクルアセスメント(LCA)は、原材料の調達から完成品の納品に至るまで、企業の製品やサービスが環境に与える影響を定量化します。LCAは、企業のプロセスや数多くの情報源から得られるデータを用いることで、以下のような疑問に答えることを目的としています。
- 最もサステナブルな製品設計や材料の選択は?
- 用地や水資源の利用を最も抑えることができるプロセスは?
- カーボンフットプリントが最も少ないのは、どの製造やサプライヤーの戦略か?
LCAのツールは何十年も前から利用可能でしたが、長い間、専門家たちの専売特許であり、専門家の所見を製品開発やデリバリーに取り入れるのは困難で時間がかかっていました。
しかし、高度なデジタル化とバーチャルツインのテクノロジーの進歩により、LCAは今では、どのような行動が環境に最も大きな影響を与えるかを明確に理解していて、最初から設計の選択を最適化するためにLCAを使うことができるチームの手の内にあります。
それにより、プロジェクトチームは連携して最適なトレードオフを特定し、バーチャルにコスト効率良く設計をテストし、サイクルタイムを短縮することができます。
上の図は2つのHVACコンポーネントの、簡略化されたLCAのデモです。Recalculate(再計算)ボタンをクリックして、さまざまな結果を調べてみてください。どのように人間のさまざまな活動がそれぞれ比較されるのか、また、どのように、あなたの持続可能性の目標と比較されるのかを見ることができます。人間の活動データは、3DEXPERIENCEプラットフォームに組み込まれたLCAソリューション(ecoinvent Database2が完全に統合されています)から直接取得されます。
バーチャルツインと組み合わせたLCAが持つ力と可能性
ダッソー・システムズのSustainable Innovation Intelligenceソリューションは、LCA、バーチャルツインのテクノロジーと、設計やデリバリーの機能の統合を可能にします。
LCAをバーチャルツインと組み合わせることにより、着想段階という早い時点で精密な環境アセスメントが利用でき、さらに、その下流のイノベーションプロセスに関わる全てのメンバーが利用できます。
また、ダッソー・システムズは正確なインサイトを一貫して提供するために、環境インテリジェンスプロバイダーであるecoinvent Associationと提携しています。ecoinventのデータベースは、20,000のアクティビティタイプをモニターし、毎年更新されています。これにより、16のさまざまなKPIにわたって最適化ができます。
LCAは、製品ライフサイクル全体にわたって環境への影響を評価するのに必要な指標をもたらします。LCAをバーチャルツインのテクノロジーと統合することで、極めて早い段階で環境への影響に対処するという新たな可能性が開かれます。
ダッソー・システムズのSustainable Innovation Intelligenceソリューションで、企業は以下のことを実現できます。
- 持続可能な目標を設定し、エコデザイン(環境配慮設計)のプラクティスを強化し、製品ライフサイクル全体を通してイノベーションを推進する、持続可能性主導型のエンジニアリング・アプローチに従う
- 人間の活動を評価して、持続可能性のために最適化
- バリューチェーン全体にわたって(原材料からパッケージング、輸送、製造、回収、ライフサイクル終了段階に至るまで)製品が環境に及ぼす影響を把握する
- 設計代案を探求して、さまざまなトレードオフ・シナリオをモデル化
ecoinvent Database(エコインベント・データベース)
ecoinvent Association(エコインベント・アソシエーション)は、環境データの提供における世界的なリーダーです。ecoinvent Databaseには、あらゆる産業分野にわたる19,000を超えるライフサイクルインベントリ(LCI)データセットが含まれており、世界レベルで、多様なセクターをカバーしています。非営利団体であるecoinvent Associationは、スイスの研究機関ETHZ、EPFL、PSI、Empa、Agroscopeによって設立され、世界中で環境データの利用を促進しています。
1出典: 「The Contribution of Design to Sustainable Development」(Euractiv)
2出典: 「ecoinvent Database」(IISD)
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