自動車・輸送機械・モビリティの SIMULIA ソリューション
未来のモビリティをデザインします。
乗用車からトラック、鉄道、バイクに至るまで、シミュレーションは、より速く、安全で、環境にやさしく、そして信頼性の高い設計を支えています。
シミュレーションが車両開発を加速し、リスクを低減する
モビリティは変革の真っただ中にあり、持続可能性や都市化などのトレンドが牽引しています。自動車業界は、新しい排出ガス規制への対応や、電気駆動・水素エンジンなどの新しいテクノロジーの市場投入に向けて、製品を根本的に再構築する事が求められています。一方、鉄道では高速鉄道と都市交通の整備が進み、また都市部での個人移動手段として、eバイクやeスクーターなどの革新的なモビリティ技術が登場しています。
メーカー、サプライヤー、建設会社は、競争力を維持・強化するために、この急速な変化の先を進み続ける必要があります。しかし、新しい車両の開発、特にゼロベースでの設計には、長い開発期間と多大なコスト、そして大きなリスクが伴います。また、乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験法(WLTP)といった新しい基準により、求められる試験の量も大幅に増加しています。こうした課題に対し、シミュレーションはこのような課題に対するソリューションであり、試験負荷を大幅に軽減するのと同時に、開発サイクルを加速させます。
シミュレーションを活用することで、設計者は実際の製品のバーチャル・ツイン上で、部品単体からシステム全体まで性能を最適化できます。 シミュレーションは、初期コンセプトから最終設計に至るあらゆる開発段階で活用でき、構造強度、空力特性、騒音、振動、快適性、操作性など多岐にわたる要素を解析可能です。また、物理試作の前に潜在的な課題を検出・解決できるため、手戻りや高コストな後期設計変更のリスクを大幅に軽減します。
SIMULIAのシミュレーションポートフォリオは、部品から車両、さらに輸送インフラに至るまでの解析と最適化を支援する包括的なソリューションを提供します。これらのツールは、業界標準の CAD ツールや、ダッソー・システムズの3DEXPERIENCE プラットフォーム上の他のアプリケーションとシームレスに連携します。
自動車・輸送機械・モビリティのソリューションの主な利点
仮想テスト
物理試験をバーチャル風洞やドライビングシミュレータによる仮想テストに置き換えます
リスクの最小化
開発の早い段階で問題を発見し、迅速に修正します
性能の最適化
パワー、操縦性、乗客の快適性の最適なトレードオフを見つけます
持続可能性の向上
燃費性能の改善や、新たなコンセプトの次世代EVを開発します
開発コストの削減
設計の反復作業や試作回数を減らし、コストを抑制します
市場投入までの期間を短縮
新コンセプトの開発を加速し、競争力を高めます
モデリングとシミュレーションの統合 - MODSIM
統合モデリング&シミュレーション(MODSIM)により、車両全体やその各部品の性能を、開発プロセスのあらゆる段階で解析することができます。
これは、試作前のコンセプト段階にも適用でき、開発プロセスを加速し、後工程での問題発生リスクの低減します。
シミュレーションモデルは、他のツールへのエクスポートやインポートを行うことなく、CADジオメトリから直接生成されます。
これは、設計の更新がすべてのユーザーに自動的に反映されることを意味し、バージョン管理に関する管理作業の負担を軽減するとともに、全員が単一の信頼できる情報源に基づいて作業できるようにします。
マルチフィジックス・シミュレーションによる最適なトレードオフ
設計を成功へ導くためには、多くの要素を総合的に考慮する必要があります。
競争力のある車両を開発するには、安全性、空力特性、エンジン温度、騒音や振動、乗り心地、操縦安定性、キャビン快適性、データ接続性など、数多くの要因を最適に制御する必要があります。
これらは構造、流体、電磁界、振動音響、マルチボディダイナミクスなど、複数の物理分野が相互に関わるマルチフィジクス現象です。
SIMULIAは、これらすべての領域をカバーするシミュレーションツール群を提供しています。
異なる物理現象間の相互作用、たとえば、電子機器内での電力損失による発熱と、部品周囲の空気流による冷却効果などを統合的に解析することが可能です。
エンドユーザー視点の体験
クルマの魅力を決めるのは、単なる移動性能ではなく乗る体験です。
サスペンションの動き、風切り音、エアコンの効き、シートの快適性など、そのすべてがドライバーと乗員の体験を左右します。
シミュレーションを活用すれば、実際に世界各地で試験を行うことなく、現実的な条件下での車両挙動を仮想的に再現できます。
バーチャルツイン体験により、エンジニア自身がドライバー視点で車両を体感できます。
設計者は、車両が走行する際に乗員が 見て・聞いて・感じる すべてを再現し、体験することが可能です。
リアルタイム・モーション・シミュレーションは、ハードウェア-イン-ザ-ループ(HiL) や マン-イン-ザ-ループ(MiL) に対応しており、リアルな物理シミュレーションをドライビングシミュレーターと連携させることで、仮想ドライバーが路面の凹凸などを即座に体感できる、没入型の試験環境を実現します。
持続可能性を考慮した設計
輸送業界は変革を続けています。電気自動車は、バッテリー、モーター、自律/運転支援システム(ADAS)技術の革新によって、ますます身近な存在になりつつあります。また近年では、公共交通やアクティブモビリティの分野でも、革新的な取り組みが進んでいます。シミュレーションは、次世代の車両やモビリティソリューションを、より速く、より少ないリスクで開発するための重要な手段となっています。
どのような輸送手段であっても、エネルギー効率は非常に重要です。乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験法(WLTP)により、車両のすべてのバリエーションに対して燃費性能の報告が求められますが、これはシミュレーションなしでは膨大なコストと時間を要します。空力抵抗やタイヤ抵抗の低減から、モーターの最適な運転領域の特定まで、シミュレーションは車両の燃費効率や航続距離を最大化するための最適化を支えています。
自動車・輸送機械・モビリティ業界の SIMULIA のお客様
電動駆動エンジニアリング
電気自動車やハイブリッド車の駆動システム開発は、内燃機関の設計とは大きく異なります。モーター、配線、冷却系、パワーエレクトロニクス、そしてバッテリーのすべてを、安全性、信頼性、効率性を重視して設計する必要があります。シミュレーションによる最適化は、電動性能や航続距離の向上を支援し、複数の設計要素間で最適なトレードオフを見出す手助けとなります。

空調制御と車室内の快適性

ドライバーや同乗者の体験のために、あらゆる要素が重要です。騒音、振動、温度、快適性などは、車室の設計者が制御して最適化しなければならない要素の一部にすぎません。暖房、換気、エアコン(HVAC)のシステムは、多くのエネルギーを消費し、車両の航続距離に影響を与えるため、特に重要です。シミュレーションを活用することで、エンジニアは HVAC などの車室内システムの設計を最適化して、最小の消費電力で快適な車内環境を維持できます。
コンセプト構造エンジニアリング
設計の第一段階であるコンセプトフェーズでは、その後の開発プロセス全体を左右する重要な判断が求められます。ここでの選択次第で、競争力のある設計になるか、図面の段階で終わってしまうかが決まります。
シミュレーションを活用すれば、実物試作に着手する前に車両構造の性能を評価できます。さらに、煩雑な再メッシュ作業を行うことなく設計バリエーションを柔軟に変更・解析できるため、性能トレードオフの迅速な検討が可能になります。

車両運動性能

ドライバーが滑らかで扱いやすい走りを求める場合でも、スポーティで楽しいドライビングを求める場合でも、車両運動性能はハンドリングや乗り心地に対する顧客の期待に答えるうえで不可欠です。
マルチボディダイナミクスシミュレーションを用いれば、ステアリング、サスペンション、パワートレインなどの各コンポーネントを単体でも、システム全体としても最適化できます。
また、バーチャルツイン上で荒れた路面条件や厳しいドライバー操作を迅速かつ安全に再現し、車両挙動を評価することが可能です。さらに、ハードウェア-イン-ザ-ループ(HiL) や マン-イン-ザ-ループ(MiL)シミュレーションを用いることで、ドライビングシミュレータ内でリアルタイムにハンドリングや乗り心地のフィードバックを得られ、最終的なユーザー体験への深い洞察が得られます。
パワートレインの強度、耐久性、振動
パワートレインの役割は、エネルギー源からホイールへ、できる限り効率的に動力を伝達することです。エンジンやモーター、トランスミッションをはじめ、すべてのパワートレイン部品は、数十万キロメートルにわたる継続的な負荷に耐えられる必要があります。
シミュレーションは、パワートレイン内でのトルク伝達の仕組みやその他の重要要因を把握し、破損や摩耗の潜在的な原因を特定するのに役立ちます。
パワートレインを最適化することで、車両全体の信頼性を高めることができます。

シャシーとサスペンションの強度・耐久性・振動

道路上のあらゆる凹凸を通じて、車両には大きな力が伝わります。エンジニアの目的は、これらの力の伝達経路を最適化し、乗員が感じる衝撃を最小限に抑えるとともに、サスペンションや車体部品の摩耗を減らすことにあります。
ブレーキ・システム・エンジニアリング
ブレーキ性能は車両の安全性にとって極めて重要です。ブレーキは、車両本体や積載の重量を、高速走行時であっても、雨天、泥道、氷上といった厳しい環境下で、確実に減速・停止できる必要があります。
シミュレーションを用いることで、物理試作を製作することなく、過酷な条件下での制動性能を評価できます。また、ブレーキディスクやパッドの摩耗を解析することで、耐久性やブレーキダストの発生状況を把握できます。さらに、熱流体・空力シミュレーションにより、ブレーキの発熱・冷却特性を可視化し、システム全体の最適設計に役立てることができます。

車両の熱管理

エンジンの熱管理は、長年にわたり車両の信頼性を確保するうえで最も重要な要素のひとつです。電気自動車への移行に伴い、モーターやバッテリーによる発熱に加え、特にバッテリーでは冬季の加温が必要になるなど、新たな熱マネジメントの課題が生じています。
効果的な冷却・加熱システムを設計するためには、車両内部を循環する冷却媒体だけでなく、車体の周囲と内部の空気流を把握する必要があります。熱シミュレーションを活用することで、各コンポーネントが発生する熱量や冷却システムの有効性を、さまざまな気象条件や運用シナリオに応じて評価できます。
車両空力性能
空気抵抗は車両の効率、そして航続距離に大きな影響を及ぼします。従来、空力性能の検討には多くの風洞試験が必要でしたが、シミュレーションを活用することで、コンセプト段階から量産設計に至るまで、あらゆる開発フェーズで空力特性を評価できます。
これにより、時間とコストのかかる物理試験を削減できるだけでなく、風洞試験だけでは再現しきれない実走行に近い空力挙動を把握する事が可能になります。

車載エレクトロニクス

2030年には、車両コストの半分を電子システムが占めると予想されています。安全システム、エンジン制御、ADAS(先進運転支援)や自動運転、インフォテインメントなど、現代の車両には多様な電子システムが統合されており、これらが互いに干渉せず、正確に動作することが求められます。
電磁界シミュレーションを活用することで、設計者は車載電子機器の電磁環境両立性(EMC)やシグナル/パワーインテグリティ(SI/PI)を解析し、潜在的な問題を事前に解決できます。
またシステムレベルでは、アンテナやセンサーの最適な配置検討や、車載システム間のクロストークや干渉の抑制にも役立ちます。
バッテリー・エンジニアリング

バッテリーは、電気自動車において最大かつ最も高価なコンポーネントです。航続距離、充電速度、コストといった競争要素の多くは、このバッテリー性能によって大きく左右されます。
シミュレーションを用いることで、セル単体からバッテリーパック全体まで、充放電時に起こる複雑な3D電気化学現象を明らかにします。
さらに、マルチフィジックス解析により、耐衝撃性や冷却性能など、バッテリーモジュールに求められる他の特性についても高度な設計検討が可能になります。
自動車・輸送機械・モビリティ分野

輸送・モビリティ業界には多様な分野があり、いずれもシミュレーションを活用することで性能、安全性、効率性を大きく向上させています。
- 乗用車やライトトラックは、エコノミーからラグジュアリーまで幅広い用途に応じ、快適な乗り心地を実現するよう設計されています。
- グローバル経済を支える大型トラックは、物流の厳しい要求に耐えるためにシミュレーションを活用しています。
- バスは、ハイブリッドや電気モデルなどのシミュレーションにより、高度な快適性と排出ガス基準を備えて進化しています。持続可能な輸送モードである列車は、シミュレーションを使用して、乗客と貨物のどちらのサービスもコンポーネントとシステムを最適化しています。
- モータースポーツでは、極限環境下での速度、操安性、耐久性を最大限に高めるため、シミュレーションが不可欠です。スクーターからレーシングバイクまでを含むモーターサイクルは、用途に合わせた空力特性や動的性能の最適化にシミュレーションを利用しています。
- また、自転車やe-Bike、カーゴバイクなどのアクティブモビリティも、複雑化する設計や安全性の要求に応えるため、構造や電磁界シミュレーションを活用しています。シミュレーションは、これらすべての輸送業界の進化を支える重要な技術となっています。
自動車・輸送機械・モビリティ業界の SIMULIA ソリューション
現代社会の発展と繁栄を支えてきたものの多くは、モビリティによって実現されてきました。黎明期のイノベーターたちは、かつて想像もできなかった自由な移動を世界にもたらしました。一方で、今日の自動車・輸送機械・モビリティ産業は、かつてない大変革の真っただ中にあります。現在のOEMや新興企業が、業界をリードする3DEXPERIENCEソリューションを活用し、モビリティの未来をどのように根本から再定義しているかをご覧ください。
自動車・輸送機械・モビリティのソリューションに関する FAQ
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