床下風切り音向けPowerFLOW

 

床下風切り音を抑制

 

パワートレインや路面/タイヤの騒音抑制が大きく前進した結果、高速走行中の主な騒音源は風切り音となっており、これは顧客のブランド・ロイヤルティや売上に直接影響を及ぼしています。

低周波数帯(500Hz未満)の車室内の騒音レベルに大きく関係することから、床下の風切り音に配慮した設計は重要です。OEMは、スポイラーや床下パネルを用いて燃費の向上やCO2削減に取り組んでいます。しかし、こうした構成部品は床下の風切り音の原因となるため、設計を決定する際には構成部品について検討を重ねる必要があります。床下は複雑な形状で、多くの構成部品で成り立っているため、実験によって床下の騒音源を特定することは容易ではありません。通常、そうした評価は、物理的な試作品が完成する開発プロセスの後半まで待たなければなりません。しかし、この時点で設計を変更するのは極めて困難であり、高額の費用も発生します。そのため、開発プロセスの初期段階で、床下の風切り音を予測し、騒音を抑制するデジタル機能が強く求められます。

技術面での課題

床下風切り音の発生源は、はく離や渦対流、再付着を含む複雑な流動構造であり、床下の細かい形状が大きく影響します。一般的に、床下の最大の騒音は、ホイール、ホイールハウス、エンジン/排気システム、サスペンション、構造クロスメンバーにおける流れのはく離から生じます。その結果発生する圧力変動により床下のフロアパン構造が振動し、車室内に低周波騒音として広がります。このような騒音源の正確なシミュレーションには、時間とともに変化する流動構造と、床下表面に生じる壁圧変動(WPF)に関するソリューションが必要です。さらに、エネルギーを包含する異方性構造とカスケード乱流構造の伝達を、広範囲な長さスケールに渡り正確に捉えることが重要です。床下パネルで強いWPFを引き起こす流動構造を視覚化することで、設計改善につながる形状特性について有益な情報を得ることができます。このような騒音源を実験によって見つけ出すことは非常に難しく、ほとんどの場合、設計プロセスの最終段階まで見つけることはできません。

SIMULIAソリューション

PowerFLOWとPowerACOUSTICSを組み合わせることで、風切り音の重要な騒音源をすべてシミュレーションできます。またそれらが原因の車室内騒音も予測できます。このデジタル・アプローチにより、床下の空力設計を変更することで風切り音に与える影響を、設計の初期段階で評価することが可能です。本質的に非定常なPowerFLOW独自のテクノロジーにより、複雑な流動構造や床下の騒音源を正確に予測できます。PowerACOUSTICSに組み込まれている遠方場騒音伝播モジュールは、床下の床下パネルに対する過渡荷重を用いて、車室全体の騒音に対する床下からの影響を予測します。PowerACOUSTICSでは、時間とスペクトル空間にもとづく詳細な流体解析を行い、床下の流れ場の非定常性に関する情報を得ることが可能です。この機能を使用することで、車室騒音の一因となる床下パネルの流れの励起を軽減するよう設計を改善できます。また、複雑な形状にも容易に対応でき、ターンアラウンド時間も短縮されるため、空力効率と風切り音の課題を同時に解決できる有益なフィードバックを得ることができます。PowerFLOWの導入により、コストのかかる物理モデルや試作品が作られる前の開発初期段階で、車両デザインから床下の騒音特性を把握することが可能です。