持続可能性を重視する消費者に対応するグリーン・パッケージング
今日の健康志向の消費者は、正しい食生活に熱心なだけでなく、食品パッケージングにも同様に気を配っています。そのため、多くのメーカーやブランド・オーナーが製品の持続可能性を重視しています。ポリエチレンテレフタレート(PET)はリサイクル可能なプラスチックであり、飲料水、ソフトドリンク、化粧品、医薬品などの容器として一般的に使用されています。軽量でありながら丈夫で柔軟性があります。
RETAL社はヨーロッパと中央アジアで最大級のPETプリフォーム・メーカーであり、国際的な拡大を目指しています。「RETAL社は、飲料水、炭酸飲料、ソフトドリンク、乳製品、化粧品、家庭用品など、世界中の食品・飲料業界の企業向けにパッケージング・ソリューションを提供しています。当社は、スクリュー・キャップ(クロージャーとも呼ばれる)とPETボトルに用いられる延伸ブロー成形と呼ばれる工法により、プリフォームと呼ばれる材料を製造しています。」(Andrew Huestis氏、パブリック・リレーションズ・ディレクター、RETAL社)RETAL社は、ネック仕上げ、重量、色、形状の異なる豊富なラインナップの中から標準的なプリフォームだけでなく、顧客による個別の要件に合わせたカスタム・プリフォームも製造しています。「持続可能性と市場投入までの時間、そしてイノベーションがパッケージング業界の原動力となっています。当社は、この3つのすべてにおいて卓越するよう努めています。」(Andrew Huestis氏)
「当社は顧客の成功が自社の成功をもたらすと考えています。サプライヤーおよびパートナーとしての信頼性および顧客ニーズに対応する柔軟性により、長期的な顧客ロイヤリティを獲得して、共に将来にわたって成長するための基盤を築いています。」(Viktorija Jureviciute氏、ジェネラル・マネージャ、RETAL Baltic社)
革新的な軽量デザイン
多くの世界有数のブランドがRETAL社の顧客であり、その関係は長年にわたります。「当社は、高品質な製品を競争力のある価格で提供することで、これらのトップ・ブランドの非常に高い期待に応えています」とAndrew Huestis氏は述べ、次のように続けています。「消費者は、健康的で持続可能な製品を提供するブランドを選んでいます。したがって、環境に配慮したパッケージング・ソリューションのニーズを満たす開発が必要です。また、革新的でなければなりません。なぜならば、当社の顧客は消費者を引き寄せるために店頭での製品差別化を必要としているからです。このため、私たちの業界ではデザインが非常に重要です。当社の専門知識と技術を頼りにしている顧客と密接に連携して、魅力的で軽量な容器やクロージャーの開発を支援しています。」
「今日の競争の激しいパッケージング市場における主なビジネス・ドライバーは、高品質な製品をより低コストで提供することです。ボトルを軽量化して製造に使用するプラスチックを減らすことで、コストを削減できます。また輸送や保管時に積み重ねられる重量に耐えられる、頑丈で安定したボトルが必要です。プリフォームの最適化により、より重量のあるプリフォームを使用した場合と同じボトル性能を達成できます。」(Anton Sugoniaev氏、ビバレッジ・パッケージング専門家、RETAL社R&D)
対応力の強化
「当社顧客のもうひとつの要件は、市場投入までの時間です。エンドユーザーのニーズを満たすイノベーションを迅速に導入できなければ、他社に追い越されます。したがって、対応時間を短縮する必要があります。同時に顧客サービスを重視することが、競合他社との差別化となります。これを実現するには、最新の製造・テスト設備と最高のソフトウェア・ソリューションが必要です。」(Andrew Huestis氏)
RETAL社は、数々の課題を解決するために、CATIA(デザイン)、SIMULIA(解析デジタルシミュレーション)がシームレスに統合された3DEXPERIENCE®プラットフォームを採用しています。「ダッソー・システムズのビジネスパートナーであるRAND Finlandが3DEXPERIENCEプラットフォームの導入およびニーズに最適なソリューションの評価をサポートしてくれました。また3DEXPERIENCEプラットフォームの初期トレーニングを提供して、デザインや設計のスピードアップをサポートしてくれました。」(Andrew Huestis氏)
3DEXPERIENCEプラットフォームにより、最適なパッケージのデザインおよびシミュレーションをサポートしています。さまざまな代案をデジタル環境で可視化し顧客に素早く提案することで、最適な案を実際のプロトタイプに選択しています。
RETAL社は、CATIAのデザイン・アプリケーションを活用して、さまざまな容器のデザインをデジタル開発して顧客に提案しています。これにより、反復ループを回避して時間を節約し、物理的なプロトタイプの使用を減らしてコストを削減しています。「CATIAは、最適なパッケージ・デザインに役立っています。顧客が最適な物理的なプロトタイプを選択する前に、多くの異なる選択肢をデジタル環境で可視化して素早く提案しています。
「CATIAは、厚みを変更するなど、開発中の製品に特定の属性を容易に適用できます。キャップのローレット・パターンを確認して、必要に応じて素早く変更することができます。ローレット・パターンとは、消費者が容易に開封できるように、細かい凹凸や切り込みを入れる加工です。簡単にいえばすべり止めです。」(Sugoniaev氏)「ボトルの直径やラベルの位置およびデコレーションを変更することで、最終的にさまざまなデザインのボトルができあがります。以前は、OEMと協力して図面を作成したり、製品の外観を確認するプロトタイプを制作していました。これは常に時間のかかるプロセスでした。3DEXPERIENCEプラットフォームにより、デザイン・チームがデジタル環境で高品質なソリューションを迅速に提供できるようになりました。これにより、物理的なプロトタイプに頼ることが減り、デジタル・モデルをベースにして製品をそのまま生産に進めることもできます。」(Anton Sugoniaev氏)。
デザイナーは、多くの場合、リバース・エンジニアリングを使用して、サードパーティーによるボトル・デザインを改良しています。「当社は通常、3Dスキャナーでボトルをスキャンして得られる3Dファイルから開始します。3Dファイルを入手後、それをCATIAにインポートして必要なボトル断面を作成しています。通常はサンプルを得るために実際のボトルをカットして使用する必要がありますが、このプロセスで変形が生じます。そのためボトルのデザイン変更が必要ですが、SIMULIAアプリケーションではシミュレーション用のサーフェス・モデルを作成し、どうすればプリフォームを改良および軽量化できるのかを確認できます。
ここで非常に重要なのは、どれだけ材料を節約できるかです。そのため、CATIAで形状をモデル化し、プリフォームの重量を計算して必要なデザイン変更を適用しています。デザイン検証後に製造向けの図面を作成して顧客に提供します。3DEXPERIENCEプラットフォームによるボトルのリバース・エンジニアリングがなければ、同じ結果を得るために多くの実験機材が必要です。3DEXPERIENCEプラットフォームにより、他にも便利な先進機能を利用できますが、当社にとって最も重要なのは製図機能です。図面を素早く作成して、すべての寸法と注釈を非常に複雑な表面のプリフォーム、ボトル、クロージャーに適用できます。ダッソー・システムズのアプリケーションであるCATIAとSIMULIAはシームレスに統合されているため、このプロセス全体を円滑に進めることができます。」(Andzejus Buinovskis氏、デザイン・エンジニア、RETA社)
豊富なプリフォーム・ライブラリを活用してサイクルタイムを短縮
RETAL社には、世界中の工場で生産されているプリフォームの広範なライブラリがあります。「新たなプロジェクトに取り組む際に既存のプリフォームおよび注釈と寸法がすでに含まれている関連図面を利用して時間を節約しています。3D形状を変更するだけで、図面を自動的に更新できます。新しいプリフォームの寸法を決めるのに1時間から2時間かかりますが、以前に決めたものを再利用すれば、10分程度で最終的な図面を作成できます。」(Andzejus Buinovskis氏)
Retal社のブロー成形プロセス・シミュレーション担当デザイン・エンジニア、Julius Barniskis氏は次のように述べています。「新しいボトルのデザインが必要な場合、既存のプリフォームを使用して、ボトルの容量やその他の特性を顧客に指定してもらっています。顧客から提示された要件に基づいて、CATIAでデザインを作成します。そしてSIMULIAでブロー工程とボトル荷重のシナリオをシミュレーションし、その結果を基にCATIAでデザインを調整しています。この手順を最適なボトルをデザインできるまで繰り返します。ボトルにかかる負荷を分析して、輸送中や保管中にボトルを何本まで積み重ねても破損しないか判断するために、頂部荷重シナリオを実行できます。その他のテストとして、ボトルが破裂する圧力を測定する破裂圧力テストやボトル取り扱い時の反応を確認するスクイーズ・テストなどがあります。デジタル・シミュレーションが当社の取り組みを容易にしています。また、プリフォーム設計を最適化して材料コストを削減するのに役立っています。」
「つい先日、米国の顧客のプロジェクト・マネージャーから、「より軽量なプリフォームを新たに設計する必要があるのでボトルを送る」という連絡がありました。ボトルはそのまま使い、ネック部分だけデザインを変更する必要がありました。ボトルは週末に届きました。月曜日にボトルをリバース・エンジニアリングし、その翌日にデザインを調整して、わずか3日でこの依頼を完了することができました。同じボトルを使いながら、ネック部分を軽量化し全体的な材料およびコストを削減して、より持続可能なボトルを製造できたことが顧客にとってのメリットです。3DEXPERIENCEプラットフォームは、より優れたサービスを顧客に提供して、当社のビジネスを次のレベルに引き上げるために役立っています」(Andzejus Buinovskis氏)
Viktorija Jureviciute氏は、RETAL社の将来は顧客の満足度にかかっていると述べて次のように続けています。「直面する多くの課題が当社の原動力となっています。当社は非常に活発な市場主導型のビジネスを推進しています。今後も長年にわたって成長し続けると確信しています。当社の取り組みに対する顧客の好意的な評価を実感しています。製品、オペレーション、プロセス、技術、ソフトウェアの継続的な改善を通じて、変化の激しいこの業界の市場トレンドに素早く対応できると確信しています。」
RETAL社について
RETAL社は、パッケージング・ソリューションの世界的な開発・製造企業です。
製品:PETプリフォーム、クロージャー、パッケージングフィルム
従業員数2,800人
売上高:8億2,000万ユーロ
本社:リマソール、キプロス
詳細情報:www.retalgroup.com
RAND Finland社について
RAND Finland社の専門分野は、製品データ管理、製品ライフサイクル管理 (PLM)、CAD/CAM、リアル・シミュレーション (FEA)、セールス/製品コンフィギュレータへの取り組みです。
同社は、これらに対応するターンキー・ソリューションとサービスを提供しています。同社の成功の鍵を握っているのは、経験豊富な熟練人材です。同社は、フィンランド/北欧/世界中の顧客へのPLMソリューション提供に20年以上の実績があります。
同社独自のチームの他に、極めて広範な専門家ネットワークを活用しています。Rand Finland社が専門とするダッソー・システムズのソフトウェア・ソリューション:3DEXPERIENCE、CATIA、SIMULIA、DELMIA、EXALEAD、ENOVIA
詳細情報:www.rand.fi