グリーン・ビルディングのためのマスティンバー
業界の環境への影響を軽減する協調的な取り組みにより、建築の主な資材である木材が再び脚光を浴びています。建築家や建設会社は、炭素集約型のコンクリートや鉄に代わる資材として木材、特にマスティンバーと呼ばれる人工木材にますます注目しています。マスティンバーのひとつの形態として、幅広い建築可能性を示しているのがクロスラミネート・ティンバー(CLT)です - コンクリートと同等の強度の大規模な壁の制作に使用される、持続可能な多層木材パネル。
PIVETEAUBOIS Group社のバイス・プレジゼントであるJean Piveteau氏は、CLTなどによる新製品開発の可能性を以前から認識しており、同社の木材ビジネスを建設業界全体にわたって進行している変革に適応させています。コンクリートに代わるプレハブ木材を使用する傾向が広がり続ける中、同氏の先見の明が実を結んでいます。
フランスの産業木材製品メーカーであるPIVETEAUBOIS社は、最新鋭の機械に投資しながら、顧客のカスタム・オーダーに対応するアプローチ全体を変革しています。同社のCLT工場は100%受注生産であり、顧客の個別のオーダーに応じて規模を拡大して需要に対応して、プロセス全体を可能な限り効率化する、新しい生産方法とデジタル機能を必要としていました。
同社は、BEAM CUBEと緊密に連携して、この二ーズに対応しています。BEAM CUBEは、ダッソー・システムズの建築・建設(AEC)業界向けソリューションの技術パートナーであり、クラウド版3DEXPERIENCE®プラットフォームに関するノウハウが高く評価されています。
PIVETEAUBOIS社のPROJETSBOIS(木材プロジェクト)部門の責任者であるMaxime Besnard氏は次のように述べています。「カスタム製造は、当社にとってまったく新たな分野です。生産前に顧客の計画を承認する必要があり、これまでのアプローチとは異なるため、インダストリアル・デザイン・ツールを統合して、計画に基づいて製造して加工プログラムを使用する必要があります。これが3DEXPERIENCEプラットフォームを導入した理由です。」
受注生産のインダストリアル・ソリューション
PIVETEAUBOIS社は、社会的および環境的な価値観に基づいて、原木を100%活用することを保証しています。樹皮と端材は木質ペレットの固形燃料の製造に利用されています。より多くの炭素を含む希少な板材がすべての無垢材製品の製造に使用されています。これには、基本的な厚板からCLTやその他の建築製品までが含まれます。
PIVETEAUBOIS社は、作業方法を近代化してデジタル・ソリューションを導入するために、リソースのさらなる最適化をサポートする技術プラットフォームを必要としていました。
「毎日工場に入荷する1立方メートルの原木の価値を少しでも高めることが目標です。ダッソー・システムズのロールは、当社が製造する木製の梁やCLTパネルおよびそれらを加工する機械の間でその性能が活かされています。これにより、建築の世界において木材を正当な地位に復帰させることができます。」(Piveteau氏)
PIVETEAUBOIS社は、各顧客から受け取る建物モデルを部品の図面に分解できる最先端のソリューションを必要としていました。この図面は、個々の木材パネルを制作して製造を最適化するために使用されます。このソリューションは、同じ情報により、積載プランも作成します。これにより、建設現場で正確な順序で搬出できまるように製造後の木材パネルのトラックへの積み込みを検討できます。
「重量500キログラムの小さな部品から2.5メートルトンの部材に至るまで、顧客から依頼された荷降ろし順序に従って積み込む作業は容易ではありません。このため積載プランの自動化が必須です。」(Besnard氏)
3DEXPERIENCEプラットフォームのCATIAは、PIVETEAUBOIS社がすべての側面を管理するために必要な設計機能を提供しています。例えば、単一の3Dモデル内の同じユニット部品から複数の異なるアセンブリーを自動的に作成できます。
「3DEXPERIENCEプラットフォームの採用を決定したのは、そのデータ・セントリックの側面によります。全員が単一のデータソースにアクセスして作業して、当社のプロジェクト管理システムにリンクさせることができます。全員が信頼できる唯一のデータソースにアクセスしているので、正しい最新版のデータを使用しているかどうか心配する必要はありません。これがまさしく変革をもたらしています。」(Besnard氏)
3DEXPERIENCEプラットフォームにより、生産性を50%~60%向上させて、現場への納品をさらに短縮しています。
計画の同期により、時間を節約
BEAM CUBEがPIVETEAUBOIS社の3DEXPERIENCEプラットフォーム機能の活用をサポートしています。現在、PIVETEAUBOIS社は、単一の環境でオペレーションのすべての段階を完全に管理しながら、標準化およびカスタマイズ製品の大規模な製造を実現しています。
「CATIAを顧客図面の表面積、数量、積載計画、部品計画、注文確認への変換に使用しています。3DEXPERIENCEプラットフォームにより、各段階で生産性を50%~60%向上させて、現場への納品をさらに短縮しています。」(Besnard氏)
このプラットフォームは、木材パネル完成品を現場に適切に納品する重要な一部である、積載計画を担当している技術者やエンジニアが、需要の増加に対応するために重要な役割を果たしています。
「以前は価格設定部門が部品と積載計画の作成に70%の時間を費やしていました。同じ人数でより多くの仕事をこなすには、タスク管理を自動化する高性能なソリューションが必要です。クラウド版3DEXPERIENCEプラットフォームは、これに対応できます。」(Besnard氏)。
このアプローチにより、PIVETEAUBOIS社は、顧客ニーズへの対応をさらに改善して、個別の建築プロジェクトの進捗に沿って顧客の要望に対応しています。
「通常、顧客への納品期間は受注後6週間です。このクラウド・ソリューションによる、情報のスピードアップとダイナミズムにより、スケジュールを短縮できます。またプロセス後半まで顧客の変更依頼を取り込めるため、より柔軟に対応できます。」(Besnard氏)。
ドキュメントとプロジェクト管理のデジタル化
多くのプロジェクトおよび部品を管理する必要があるPIVETEAUBOIS社は、3DEXPERIENCEプラットフォームのENOVIAにより、確実なデータおよびプロジェクト管理機能をシームレスに統合することで大きなメリットを得ています。これにより、複数のカスタム・オーダーを同時に処理して、すべての建物と部品のモデルおよび関連ドキュメントのやり取りや更新に伴うバージョン管理を完全に維持して、データの重複やエラーを回避しています。
「以前は手作業でスプレッドシートを更新していたため、顧客による修正依頼により、多くの情報がすぐに陳腐化していました。これが今は解消されています。完全な信頼性のある情報を取得してリアルタイムで更新しています。」(Besnard氏)。
現在、PIVETEAUBOIS社は、カスタム・オーダー受注から最終的なプレハブ木材部品の現場への搬入に至るまで、すべてのプロセスを3DEXPERIENCEプラットフォームで管理しています。
「現在、プロジェクト管理をすべてプラットフォームで行っています。これにより、作業順序を正式に構成および適切なユーザー・グループを編成して、適時連携させて工場をセットアップしてすべての納期を遵守しています。すべての関係者間の継続的な情報フローを導入しています。」(Besnard氏)
PIVETEAUBOIS社は、CLT関連のノウハウをすべて3DEXPERIENCEプラットフォームのクラウドに保存することで、新規プロジェクトに迅速に取り組み、経験豊富なチーム・メンバーがアイデアや専門知識を効果的に共有しています。プラットフォームでの連携により、情報のトレーサビリティおよびセールス、エンジニアリング、製造
間の一貫したコミュニケーションが確保されています。
「主に3DSwymコミュニティを使ってやり取りして、アイデア投稿を使って各プロジェクトを開始しています。開始から完了ゴールまで必要なものがすべて揃っています。つまり、動的な構造化された連携です。コミュニティ、投稿、プラットフォームの連携的な管理により、実際に必要なときにみ関与できるようになっています。」(Besnard氏)。
PIVETEAUBOIS社は最終的に、このプラットフォームにより、顧客と直接つながり、データをやり取りすることなく建築モデルをレビューおよび変更することを目指しています。
持続可能性を組み込んだ未来の建築
PIVETEAUBOIS社は創業以来、生産プロセスで使用する天然資源の最適化と省エネルギーに常に注力しています。
「当社のミッションは、すべての原木を最大限に活用する強い熱意と意欲、つまりすべての人に最高の木材を提供して次世代のために持続可能な世界を築くことに基づいています。地元の森林の促進および低炭素製品や生産方法を通じて環境問題に対応しながら、資材開発に取り組んでいます。」(Piveteau氏)
同社は将来に向けて、3DEXPERIENCEプラットフォームを使用して、製品や建物のライフサイクル・アセスメントを数値化して、全体的なカーボン・フットプリントを測定する方法を検討しています。
「工場に入荷する資材を最大限に活用して、ウッド・ウールや断熱材など、将来にわたって持続可能な製品を考案しています。CO2削減への取り組みを実証して、今後の欧州規制に適合する資材評価を実施できるようにする必要があります。」(Piveteau氏)
建築・建設業界がより生産的で持続可能な業界を目指している中、PIVETEAUBOIS社も木材セクター全体にわたって前向きな変革を推進し、デジタル技術を活用して受注生産の規模を拡大して、建築環境の脱炭素化に必要な木材製品を開発しています。
00:00 - 00:15
Jean Piveteau氏、PIVETEAUBOIS Group社、バイス・プレジデント:
木材および技術に対する強い熱意と意欲が、PIVETEAUBOISのイノベーションの原点です。
00:16 - 00:35
Maxime Besnard氏、PROJETSBOIS(木材プロジェクト)マネージャ、PIVETEAUBOIS社
受注からプレハブ部材の建設現場への搬入に至るまで、当社のすべてのプロセスをダッソー・システムズのソリューションに組み込んでいます。そのメリットは、カスタム製品工業化の実現です。
00:36 - 00:45
Jean Piveteau氏:
当社は、ランドスケープ、建築、エネルギー向けの木材ソリューションを提供して、建築における木材の有効な活用を目指しています。
01:01 - 02:13
Maxime Besnard氏:
ウッド・プロジェクト・サービスおよびCLT[クロス・ラミニネーテッド・ティンバー]やグルーラムなどの製品のために、ダッソー・システムズのソリューションを社内で統合しています。顧客のモックアップや図面を完成品に変換する必要があるため、当社の製品にはカスタム製造が必要です。3DEXPERIENCEプラットフォームにより、顧客のオーダーに関連するデータ・フローを容易に構築して、顧客図面の表面積、数量、積載計画、部品計画、注文確認への変換に使用しています。ダッソー・システムズのソリューションがもたらしている大きな進化は、これらすべての段階の自動化です。以前のツールでは、価格設定部門の技術者やエンジニアが部品と積載計画の作成に70%の時間を費やしていました。また、顧客から変更依頼があった場合、初めからやり直す必要がありました。ダッソー・システムズのソリューションにより、これらの段階の生産性を50%~60%向上させています。クラウド版のソリューションを利用することが、情報のアクセシビリティに不可欠です。また、データ・スピードの向上により、プロセスのかなり後半まで顧客の変更依頼を取り込めるため、より柔軟に対応できます。ダッソー・システムズのソリューションのデータ・セントリックの側面が重要です。これにより、誰もが信頼できる唯一のデータソースにアクセスできます。これがまさしく変革をもたらしています。
02:14- 02:35
Jean Piveteau氏:
ダッソー・システムズの重要な役割は、製造する木製の梁やCLTパネルおよびそれらを加工する機械の間で性能を向上させて、建築の世界において木材を正当な地位に復帰させていることです。
PIVETEAUBOIS Group社について
PIVETEAUBOIS Group社(フランス拠点のメーカー)は、建築・建設セクターにおけるリーダー企業の1社であり、1948年以来、建築、ランドスケープ、木材エネルギー向けの木材ソリューションを提供しています。持続可能な開発の厳格なポリシーに基づき、同社の3つの生産拠点への原材料は、300km内の地元のPEFCエコ認証森林から供給されています。同社は、そのノウハウおよび新しい技術への継続的な投資により、資材の最適化および最高品質の製品保証の両面において、すべての原木を最大限に活用しています。
詳細情報:www.piveteaubois.com
BEAM CUBEについて
BEAM CUBEは、3DEXPERIENCE プラットフォームを基盤とするデジタル・プロジェクト管理・設計(BIM)ソリューションを建設業界に提供しています。同社は、建築、建物、土地管理セクターの企業向けサポートおよびトレーニングを提供して、建築業界のグローバルな発展において重要な役割を果たす、次世代のBIMツールの活用を支援しています。同社は、3DEXPERIENCEプラットフォームを活用して、建物や都市の未来を構築する、最も効率的なアプローチを顧客に提供しています。