将来を見据えたプラスチックの技術革新
熱硬化性プラスチック部品メーカーであるJAKSCHE Technology社は、同社製品に使用されるコア材料が環境に及ぼす影響を十分に認識しています。ボスニアにある同社は、この課題に向き合い、この分野で最も持続可能な企業の1社になることを約束し、低炭素・循環経済時代の環境に配慮した経済的かつリサイクル可能なプラスチック・ソリューション生産に積極的に取り組んでいます。
JAKSCHE社は、プラスチック部品製造での50年にわたる実績を生かし、欧州での建設、自動車、産業分野の大手企業の主要なパートナーとなっています。同社は、水槽や機械ハウジング、ルーフ・シェル、車両パネルなど、最も過酷な環境で使用される工具や頑丈な繊維強化プラスチック部品を開発・製造しています。JAKSCHE社は、伝統と革新を重視して、お客様と社会の両方のニーズを満たす最高品質の製品の提供に取り組んでいます。
3DEXPERIENCEプラットフォームは、一元化したデータ・モデルの作成をサポートしており、将来的にはバーチャル・ツインの可能性を探求できます。
「創意工夫の精神が製品を豊かに、当社を駆り立てます。」とJAKSCHE社のマネージング・ディレクターであるHeidrun Andre氏は述べています。「当社の長期的な目標は、天然繊維、バイオポリマー、リサイクル材料の使用にさらに注力することです。例えば、オーストリアのバイオベースの実証プロジェクトのパートナーとして、亜麻仁油エポキシ樹脂と天然繊維を使用して100%バイオベースの熱硬化性樹脂を製造しています。また、生産の最適化にも注力しており、プロセスのデジタル化にも多額の投資を行っています。」
現在、3DEXPERIENCEプラットフォームをJAKSCHE社のデジタル戦略の中心に位置づけており、持続可能性の目標を追求するだけでなく、連携の強化および製品開発の最適化を促しています。
「革新的な製品製造を推進してビジネスを成長させるために業界をリードする強力なプラットフォームが必要でした。製品開発プロセスを統合する技術への投資は非常に重要であり、3DEXPERIENCEプラットフォームにより、環境の一元化を実現しています。」
すべての部門を単一のプラットフォームに統合
JAKSCHE社のデジタル戦略の重要な目的のひとつに、部門間の縦割りを解消することがありました。
「このプラットフォームを導入するまで、研究開発、調達、生産部門間のコミュニケーションが非効率でした。」と、JAKSCHE社、最高執行責任者のMiroslav Stolić氏は述べています。「各プロジェクトの文書監視やCADデータの検証にも支障がありました。」
JAKSCHE社は、ダッソー・システムズのビジネスパートナーであるCADCAM Solutionsのサポートにより、解決策を見い出しています。3DEXPERIENCEプラットフォームと、設計用にCATIA、連携的な革新とプロジェクト管理用にENOVIA、生産計画用にDELMIAを採用しています。
「もともとCATIA V5を使用していましたが、業務とアプリケーション間のデータ互換性を確保するため、3DEXPERIENCEプラットフォームを導入し、互換性問題を克服することが妥当な判断でした。このプラットフォームが、一元化されたデータ・モデルの作成をサポートしてくれ、将来的にはバーチャル・ツインの可能性を探ることができるという点も高く評価しています。」
CADCAM Solutionsは、JAKSCHE社の意思決定と導入の全段階をサポートしました。
「CADCAM Solutionsは当社の家族の一員のようなものです。その専門知識と経験により、当社が遭遇した あらゆる問題の解決に役立ちました。そのコミュニケーション、透明性、プロ意識は、本当に感銘を受けました。」
JAKSCHE社は先ず、R&Dや調達など、3DEXPERIENCEプラットフォームでの新しいデジタル・アプローチが最も必要な部門を優先することにしました。
「私たちはすぐに、これらチームの協力体制に大きな違いができることに気づきました。」とStolić氏は語ります。「3DEXPERIENCEプラットフォームにより、必要な情報に一カ所で素早くアクセスできるようになり、社内とでも、お客様とでも、コミュニケーションが向上しています。」
これまで想像すらしなかった完璧な設計を実現し、設計の初期段階で生産の制約を考慮しています。
複雑な設計を最初から正確に実現
お客様の要求が大きくなるにつれ、JAKSCHE社の設計部門に要求される、大型外装パネルの形状や輪郭がさらに複雑になっています。
「キャラバンを見ると、外装パネルには複雑な形状やエッジはみあたらず、一見ごく普通に見えます。実際はそうではありません。」とAndre氏は語ります。1つのモデルの外装に対して、5社以上のサプライヤーが部品を提供しており、厳格な公差を満たす必要があります。そうでなければ、取り付けや組み立てが極めて困難になります。精度の高い設計を実現するには、お客様とサプライヤーの両方から適切な情報を得る必要があります。」
CATIAの高度なモデリング機能により、JAKSCHE社は、最初から適切な設計が達成できます。
「CATIAは、サーフェス・モデリング、サーフェス接線制御、負角制御の領域で最高のアプリであり、当社の製造工程に適合した部品や工具の設計・製造を可能にしています。」と、Stolić氏は語ります。「私たちの業界では、製品の負角を識別し、特定することが最も重要なステップです。この情報に基づいて、必要な工具を製作します。組み立て段階前に正しく理解できれば、必要な物理的試作数を減らせます。」
CATIAのレガシー・データおよび3DEXPERIENCEプラットフォーム間のシームレスな統合により、JAKSCHE社は製品開発ライフサイクル全体のあらゆる側面を最初から考慮しています。
「これまで想像すらしなかった完璧な設計を実現して、設計の初期段階で生産の制約を考慮しています」とStolić氏は述べています。「ENOVIAにより、設計中のすべての変更を追跡し、すべてのプロジェクト関係者と情報を共有しています。プラットフォームにより、プロジェクトのライフサイクル全体を監視できます。CADモデルを変更すると、影響を受けるすべてのコンポーネントが自動的に更新され、新しいモデルが承認された時点で調達部門が変更に関する情報を受け取ることができます。」
同社は現在、プロジェクト管理にENOVIAを使用することで、効率的で信頼性の高い反復可能なプロセスを確立し、適切な担当者が適切なタイミングで関与して、プロジェクトを期限内かつ予算内で実現しています。
「ENOVIAのシンプルで可視性を提供する機能により、すべてのコンポーネントを一元管理できます。複数の部門による変更や修正およびフィードバックをプラットフォームだけで確認できます。」Stolić氏は語ります。「タスク管理が簡素化され、習得した知識をプロジェクトで再利用できるようになったことで、競争上の優位性にもつながり、、エンジニアが迅速かつ容易にオファーを作成してお客様からの問い合わせに対応しています。
必要な情報をより容易に見つけることができるため、労力を大幅に削減できます。」と、Andre氏。「個々の部品のID番号を作成して各製品を素早く見つけることができます。すべてをひとつのプラットフォームで行うことができます。」
正確で効率的な生産計画
JAKSCHE社の生産は受注生産であり、生産台数は毎回異なります。
「大型建機OEM向けにグラスファイバー製品を生産しています。」と、Stolić氏は語ります。当社の生産は、ラミネート加工や手作業による切断など、手作業が中心です。最近まで、これらのプロセスをすべてスプレッドシートを使って計画していましたが、管理が複雑になっていました。計画担当者が再計画や生産を最適化するために毎日約2時間を浪費しており、計画のシミュレーションもできませんでした。より適切な可視化も必要な状態でした。生産に進むわずか数時間前に現場で計画を確認していました。」
DELMIAを利用することで、JAKSCHE社は、生産計画の管理方法を変革して改善しています。
「DELMIA Ortemsで、動的なスケジュールが実現できています。現在、計画担当者は数週間先の生産計画をわずか30~45分で再計画し、シミュレーションしています。リソースと材料に伴う負荷の可視化を向上させて、リアルタイムでスケジュールを確認して生産前に十分な修正を行っています。」
JAKSCHE社は、異常を特定し、より大規模な生産への対応できるかを判断し、早い段階で手を打つことができます。
「通常の生産能力を超える注文に対応できるかどうかを判断する必要があります。」とAndre氏。生産工程を視覚化し、問題になる前にボトルネックを特定できることが実に役立っています。DELMIA Ortemsにより、生産を完璧に実行できます。」
顧客ニーズへの対応
JAKSCHE社は、すべての情報を一元管理することで、製品開発のライフサイクル全体を通じて顧客のニーズに対応して、業界特有の規制を満たしています。例えば鉄道分野では、通常30年保証と各部品に対応する文書化されたワークフローが必要です。
「完全なトレーサビリティを鉄道業界の顧客に提供できるようになりました。3DEXPERIENCEプラットフォームがなければ、この管理は非常に困難です。」と、Andre氏は語ります。
気候変動や化石燃料の枯渇に対する懸念が高まる中、JAKSCHE社は持続可能性に積極的に取り組んでいます。3DEXPERIENCEプラットフォームが、その新たな研究開発プロジェクトをサポートしています。
「現在海洋業界向けの製品を開発中で、それを実現するために3DEXPERIENCEプラットフォームを使用しています。特定の案件に使用する素材に新しいIDを作成し、品質とユース・ケースをすべて文書化することで、プラットフォームのデータとして、アクセスできます。必要な透明性を確保できています。例えば、お客様がプラスチック部品から亜麻繊維部品に切り替えたい場合、特定の部品に関連する必要な情報をすべて把握できます。システムを参照して、非常に簡単に状況を正確に確認できます。」
JAKSCHE Technology社について
JAKSCHE社は、複合材による高品質な繊維強化プラスチック・コンポーネントおよびシステムの生産で50年にわたる実績を誇るオーストリア企業です。同社は、開発、エンジニアリングおよび完成品の組立てまで、カスタマイズ・ソリューションを、すべて単一のデータソースで開発しています。また、個々の要件および効率とコストを重視して、シリアル生産の高度な柔軟性を確保して納期を厳守しています。
詳細情報:www.jaksche.eu/en
CADCAM Solutionsについて
ボスニア・ヘルツェゴビナを拠点とするCADCAM Solutionsは、南東ヨーロッパにおける製品ライフサイクル管理(PLM)ソリューションのリーディング・プロバイダーであるCADCAMグループの1社です。同社は、機械、電気、電子システム、製品開発用のソフトウェアおよびサービスを提供しています。CADCAM Solutionsのポートフォリオは、PLM、CAD、CAMを含む、広範なソフトウェアに対応しています。同社は、業界をリードする技術、エンジニアリング・サービス、広範なナレッジを統合して、特定の業界や顧客の課題を解決するソリューションを開発しています。