Interstellar Lab社

Interstellar Lab社は、持続可能な地球上での暮らしおよび宇宙空間における自律型の生存に向けた環境制御型閉ループ・モジュールの開発に3DEXPERIENCEを使用しています。まず最初に構築されているモジュールは、BioPodと呼ばれる環境制御型食料生産システムです。

持続可能な地球上での暮らしおよび宇宙空間における生存

地球、月、火星。人類の惑星移住には何が必要なのか?

これを追求することがInterstellar Lab社のミッションです。同社は、地球上でのより良い暮らしを維持および生物圏を保護できるシステムを創出して、人類の惑星移住に備えるという野心的な目標を推進している、フランスと米国の革新的なスタートアップ企業です。このプロジェクトにより、創業者兼ディレクターのBarbara Belvisi氏は、環境および宇宙旅行に対する熱意を有意義かつ永続的なインパクトの創出に結び付けて、自らのビジョンを具体化しています。

Belvisi氏は次のように述べています。「気候変動はまさに緊急事態であり、これを好転させる時間はほんの僅かしか残されていません。火星での生存に必要なことを考えることは、私たちが直面している気候危機の緩和にも役立ちます」

Interstellar Lab社のサイエンティスト、エンジニア、アーキテクトから成るチームは、水・空気・食料の生成・再生が可能な完全な自律型の居住が実現するために、航空宇宙技術からヒントを得て、ほとんどすべてのものを生産・リサイクルする、環境制御型閉ループ・システムを設計しています。独立型モジュールあるいは複数のモジュールを組み合わせた完全な自律型ユニットで構成される生物再生ステーション(Ebios)は、このタイプでは初めての実験的な滞在施設です。外部からの補給なしで人が生活を維持するために必要なすべてのインフラとリソースがEbiosに収容されて、小さな町が形成されます。

Belvisi氏は、次のように述べています。「地球から脱出するわけではありません。地球上での持続可能な暮らしに向けた新しい環境と、将来の宇宙ミッションのためのテスト・ベッド環境を構築しています。これが人類の未来に向けたフレームワークになると考えています。」

エアロックで接続される複数の環境制御型ユニットが組み合わされたEbiosモジュール(3Dレンダリング)。

まず最初に開発されているモジュールは、BioPodと呼ばれる環境制御型食料生産システムです。このバイオスフィアは、極端な気候に耐えられるように構築されており、地球上での食料生産に必要な土地と水を99%以上削減する画期的なシステムが設計されています。精度の高い農業を実現する先進的な技術と予知保全を組み合わせて、BioPodは従来の屋内農業では複雑すぎるため困難な多様な作物や植物を育てるために必要な特定の環境条件を作り出します。

Interstellar Lab社の最高製品責任者であるJim Rhoné氏は次のように述べいます。「最初の目的は、BioPod含む主なポッドを構築して、食料生産から水や廃棄物処理システムまで、統合型の閉ループの持続可能な環境を作り出すことです。現在、設計作業の大部分が、この目的に費やされています。ステーションとモジュールには、効率と持続可能性にフォーカスした機能性とエンジニアリングの他に、地球、月、火星のどこであれ人にとって基本的に必要なもの - 人が暮らして成長していく空間を満たす必要があります」

この大規模なプロジェクトのために、Interstellar Lab社は、NASA、Space X、AirbusNASA、ダッソー・システムズの人材および専門知識を採用しています。ダッソー・システムズは、このスタートアップ企業の成長および拡張をサポートしています。Interstellar Lab社は、Ebiosの設計および開発のすべてのプロセスにクラウド版3DEXPERIENCE®プラットフォームを使用しています。

Rhoné氏は、次のように述べています。「最新のデータフローのワークロードをサポートする、革新的なアプローチを提供している、多くのツールを現在利用できます。しかし、ほとんどの場合、当社に求められるすべての制約を単一のプラットフォームで取り扱うことができません。当社は、生物学、航空宇宙、制御システム、建築、数学、材料科学など、多数の専門分野および最先端のスキル、アプリケーションを一元的に取り扱うことができるプラットフォームを必要としていました。これを実現できるのが、3DEXPERIENCEプラットフォームでした」

Interstellar Lab社、最高製品責任者Jim Rhone氏と創業者兼CEO Barbara Belvisi氏

クラウドによる、イノベーションの加速

フランスのパリと米国のロサンゼルスに拠点を置く、Interstellar Lab社は、24時間体制でEbiosの設計に取り組んでいます。

Belvisi氏は、次のように述べています。「当社のチームは、24時間体制でモデル開発に取り組んでいます。全員がプラットフォームでシームレスに連携して、同時にプロジェクトを進めています」

クラウド版3DEXPERIENCEプラットフォームは、安全かつ即座にアクセスできるだけでなく、チームが単一のバージョンに基づいて情報を一元管理できます。

Belvisi氏は、次のように述べています。「多くのさまざまなコンポーネントに取り組んでいるため、作業が重複しないように、常に最新バージョンにアクセスすることが非常に重要です。このプラットフォームは、作業プロセスを最も効率的にサポートします。設計を初めからやり直す必要がありません。多くのさまざまな反復作業を同時に進めるために、リアルタイムのアクセスは非常に重要です」

グローバルかつ複数分野をまたぐInterstellar Lab社のチームは、複雑な要件を単一のプラットフォームで取り扱い、BioPodを実用化するまでのプロジェクトおよび設計レビューを管理し、技術的なコンプライアンスも確保できるプラットフォームを必要としていました。

Belvisi氏は、次のように述べています。「次の段階に進むときに、設計ナレッジを保管および検索、BioPodのライフサイクルを効率的に管理するために、ENOVIAのプログラムおよびプロジェクト管理機能が極めて貴重な役割を果たしています」

クラウドベースのプラットフォームを通じて、チームが必要なすべての機能にアクセスできます。これにより、サードパーティのツールやプラットフォームを切り替えたり、アプリケーション間でデータを変換する時間を節約できます。

Rhoné氏は、次のように述べています。「相互運用には時間がかかります。すぐに使える機能を提供しているプラットフォームは多くありません。3DEXPERIENCEにより、設計および反復作業を加速させて、すべての専門分野およびドメインを一元的に集約して最適なソリューションを考案できるため、大きな変革がもたらされています。より速く前進して、より迅速なイノベーションを実現しています」

BioPodはEbios生物再生ステーションに構築される最初のモジュール。希少な種類も含む、あらゆる植物を制御環境下でエアロポニックス空中栽培。

パリにおける最初のBioPod

最も過酷な条件に耐えるために、BioPodには、複合材料による強固な技術基盤および柔軟な耐性ポリマーによる膨張膜が組み合わされています。

Belvisi氏は、次のように述べています。「最終的にたどり着いたのが、最小限の労力で極めて容易に展開できるスペース・ビレッジです。この構想を実現するのが、生命を維持するために必要なものをすべて収納した構造体を膨らませる、折りたたみ式のドーム設計です」

各モジュールが3DEXPERIENCEプラットフォームのCATIAを使用してて設計されています。

Rhoné氏は、次のように述べています。「大量のデータから複雑かつ拡張性のあるジオメトリのシェルや構造を作成できる、パラメトリック設計のアプローチを採用しました。反復作業とシミュレーションを繰返して、設計の精度を高めています。BioPodには、多数のさまざまな構造コンポーネントが収納されます。すべてを単一のプラットフォームで一元化できるため、より効率的に設計作業を進めることができます」

Interstellar Lab社のチームは、宇宙への野心を常に念頭に置いて、最初のスペース・ビレッジの地球上での建設を計画しています。

Belvisi氏は、次のように述べています。「宇宙を視野に入れて、より効率的なコンセプトやシステムを地上でテストしていきます。宇宙空間における展開を考えた場合、システムの軽量化および超耐久性が必須です。また、太陽放射や極端な温度など、多くの制約も考慮する必要があります」

Interstellar Lab社は3DEXPERIENCEのSIMULIAによるシミュレーション機能を活用して、最初のBioPodの配備を事前に最適化しています。

Rhoné氏は、次のように述べています。「過酷な条件下でもドームが期待通りの機能を果たすことを、実際の環境で正確にシミュレーションする必要があります。例えば、柔軟な膜を含む構造全体の強度テストや内部の空気流を維持しながら正確な気圧を測定するなどです」

Belvisi氏は、次のように述べています。「ドームの外側の温度変化が内部気圧に影響を及ぼしますが、安定した状態を保つ必要があります。植物の成長段階に合わせて、酸素と二酸化炭素を最適なレベルに設定する必要もありますが、SIMULIAにより、考えられる複数のシナリオをエミュレーションできます」

Interstellar Lab社における、3DEXPERIENCEプラットフォームのシミュレーション機能による、最初のBioPod構築前の最適化。

バーチャル・ツインがシステムの中核

ドームは、建設や実験を重ねながら進化を遂げていきます。このため、物理的なモデルに行われた変更の日付を追跡して管理する必要があります。バーチャル・ツインは、オペレーションやメンテナンスから、食料生産および環境に関するデータの収集まで、すべてに対応するプロセスを提供する、非常に重要な役割を果たしています。Interstellar Lab社は、3DEXPERIENCEプラットフォームにより、これらのデータを大規模な展開に不可欠な正確な3D表現にすべて適合させています。

Rhoné氏は、次のように述べています。「最終的には、3Dモデルにより、BioPodsおよびEbiosを仮想的に複製して独自のソフトウェアに接続することで、ステーションおよび環境から得られるデータを収集します。これにより、人工知能支援型コントロール・センターを立ち上げて、最適化された超自動化方法により、地球上および宇宙におけるライフサイクル全体を通じて、ポッドを監視できます」

3DEXPERIENCEは当社に大きな変革をもたらしています。設計および反復作業を加速させて、すべての専門知識を一元的に集約して最適なソリューションを考案できます。

Jim Rhoné氏の写真
Jim Rhoné氏
Interstellar Lab社、最高製品責任者

BioPodおよびEbiosのバーチャル・ツインは、製造、実行、オペレーション、メンテナンスの段階にも不可欠なアセットです。

Rhoné氏は、次のように述べています。「BioPodsのさまざまなコンポーネントの生産開始すると、デジタル・ツインが進化します。メーカーやサプライヤーからの各部品の特性を統合して、プラットフォームで一元化された製品の仮想レプリカを取得できます。この同じデジタル・アバターにより、実行の品質および精度をコントロールおよびセンサーからデータを取得して各BioPodの性能を統合します。これにより、シミュレーションやより信頼性の高い意思決定を実行、コントロールを自動化、予知保全を開発できます」

最適な価値観の共有

Interstellar Lab社とダッソー・システムズの提携には、多くの点で価値観、関心事、スキルの一致がみられます。

Rhoné氏は、次のように述べています。「ダッソー・システムズは、航空宇宙の専門家として有名です。一方で、ライフサイエンスにも取り組んでいるため、当社のミッションを実現するパートナーとして理想的です」

Belvisi氏は、次のように述べています。「ダッソー・システムズは、連携の開始当初から、当社のプロジェクトの方向性を理解して、アプローチをサポートする最適なソリューションを提供しています。私たちの熱意とビジョンは共通しています。人類の惑星移住という夢を叶えるときが、かつてないほど近づいてることを実感してます」

Interstellar Lab logo

Interstellar Lab社について

Interstellar Lab社は、地球上での暮らしおよび将来的には月や火星における生存を支える、水・空気・食料を生成・再生する閉ループの滞在施設およびバイオスフィアを開発および構築しています。フランスのパリと米国のロサンゼルスに拠点を置く同社は、建築、エンジニアリング、製品設計、科学を組み合わせた、スペース・ビレッジの実現を目指しています。

詳細情報:www.interstellarlab.com