Harbinger社

米国拠点の電気自動車企業であるHarbinger社は、3DEXPERIENCEプラットフォームを採用し、中型トラックの電動化に貢献する革新的なバッテリー搭載型シャーシの製品開発サイクル全体を管理しています。同社は、一元化されたデータ管理と連携機能のメリットを活用しています。

Harbinger社による中型トラックの電動化

電気トラック市場は、自家用電気自動車(EV)に比べると、まだ最初の段階です。しかし、ラストマイルの配送や流通サービスの大幅な需要増加に伴い、よりエネルギー効率が高く、費用対効果の高い中型トラックの必要性が高まっています。

Harbinger社は、「イノベーションに飢えている」とさえ語られる業界セグメントの変革を推し進めている企業のひとつです。カリフォルニア拠点のスタートアップである同社は、商用ウォークイン・デリバリー・バン、軽トラック、スクールバス、大型キャンピング・カーまで、クラス4からクラス7までのバッテリー電気自動車の先駆的なシャーシの開発に取り組んでいます。HarbingerのCEO兼共同設立者であるJohn Harris氏は、EV、バッテリー、ドライブトレインに関する専門知識を結集し、世界初のEVプラットフォームを市場に投入することで、電動化に理想的でありながら数十年前の技術で走り続けている分野に貢献すると説明しています。

John Harris氏は次のように述べています。「今日、中型トラックの大半がラストマイル配送に使用されており、電動化の理想的な候補となっています。ほとんどの車両が同じルートの短距離配送をカバーしており、充電に適したスケジュールで走行しています。毎晩同じ場所に駐車しておけば、ゆっくりと充電でき、コスト効果が高いといえます。当社は、従来通りの業務を維持しながら、セクター全体を変換することを目指しています。」

Harbinger社は、既存の内燃エンジン車の改修ではなく、シャーシ・アーキテクチャを再構築する新しい中型EVソリューションの設計に着手しています。同社は、ドライバー・エクスペリエンスの向上、性能と安全性の強化、ランニング・コストの削減を目指して、拡張性のあるシャーシをクラウド版の3DEXPERIENCE®プラットフォームで設計および開発しています。普及を促進するために、中型EVトラックは、ガスやディーゼル・エンジンのトラックと競合できる価格設定を予定しています。

Harbinger社は、クラウド版の3DEXPERIENCE プラットフォームを使用して、シャーシを含むすべてを社内で構築・統合しています。(Image © Harbinger)

垂直統合型EVによるコスト削減

Harbinger社は、追加コストをかけずに商用EVの製造を成功させるため、すべての主要なコンポーネントを自社開発しています。同社は、白紙の状態から考え直すことで、モーター、インバーター、ギアボックスを交換可能な単一のユニットに統合した独自のeAxleを含む、新しいシャーシ・アーキテクチャ開発というアプローチに刷新しています。

「乗用車メーカーと同じように、当社は製品開発に垂直統合型のアプローチを採用しています。つまり、シャーシ、バッテリー・システム、ドライブ・トレインなど、すべてのコンポーネントを自社で製造し、統合しています。性能、効率、耐久性に妥協することなく、コスト競争力の高い車両を製造できます。」

Harbinger社は、すべての専門分野をシームレスに統合し、車両のライフサイクル全体を通じて、関連するあらゆるデータを管理できる開発環境を必要としていました。現在、同社はクラウド版の3DEXPERIENCEプラットフォームにより、すべての関係者やチーム・メンバーがいつでもどこからでもどのデバイスからでもデータや最新情報をアクセスしています。

「車両を一から開発するには、複雑さが伴います。これに対応するには、CADやエンジニアリング部品表(eBOM)からバーチャル・ビルドに至るまで、あらゆるデータの取り扱いをサポートする、完成度の高い安定した強固なPLMプラットフォームが不可欠です。また、当社の事業拡大に合わせて拡張できるプラットフォームが必要で、3DEXPERIENCEプラットフォームにより実現しています」。

車両を一から開発するには、完成度の高い安定した強固なPLMプラットフォームが不可欠です。また、当社の事業拡大に合わせて拡張できるプラットフォームが必要ですが、3DEXPERIENCE プラットフォームムにより実現しています。

Harbinger社 John Harris氏 > ダッソー・システムズ
John Harris氏
Harbinger社 共同創業者兼CEO

信頼性の高いPLM技術とサポート

スタートアップ企業には、基本的なテクノロジー・ソリューションが適しているように思われますが、John Harris氏は、現在および将来必要とされるベストプラクティスのワークフローと機能をすべて提供する、実証済みのインダスリー・プラットフォームへの投資が必要であると述べています。

「後で変更ということをしたくないので、ビジネスに合わせて拡張できるプラットフォームを選択することが重要です。多くのWebベースのプラットフォームがあり、それぞれ印象的なでもがありますが、PLMという観点では、そのほとんどが不十分です。長期にわたって耐久性のある顧客向けのエンジニアリングを提供するには、信頼背の高いプラットフォームが必要です」。

3DEXPERIENCE for Startupsプログラムは、クラウド版の3DEXPERIENCE プラットフォームでCATIA、ENOVIA、SIMULIA、DELMIAを含むすべての関連アプリケーションを全面的に活用できるメリットを、Harbinger社にリーズナブルな価格で提供しています。クラウド・ベースのソリューションは、アプリケーション・スイートの迅速な利用と拡張性を必要としていた創業間もない企業である同社にとって極めて理想的でした。

「高額なライセンスの購入は、スタートアップ企業にとって大きな負担です。より手頃な価格でプラットフォームのすべての機能にアクセスできる、クラウド版のソリューションは、当社のようなベンチャー企業にとってまったく妥当な選択肢でした。透明性、セキュリティ、柔軟性をすべて提供するクラウド・ベースのプラットフォームがあれば、オンプレミスのサーバーを維持する必要はありません。これを選ばない理由は見当たりません」(John Harris氏)。

Harbinger社が信頼する、ダッソー・システムズの北米でのリセラー、導入、トレーニング・パートナーであるTata Technologiesが継続的な技術サポートを提供しています。Tata Technologiesは、製品エンジニアリング・サービスのリーディング・プロバイダーとして必要な経験および多様なスキル・セットにより、3DEXPERIENCEプラットフォームに対する同社のさまざまな要件に対応しています。

「Tata Technologiesとは長い付き合いです。彼らは必要とするあらゆるサポートを提供してくれますし、この分野の正真正銘のエキスパートです。3DEXPERIENCEプラットフォームには、専門知識がない小規模な企業には馴染みのない数多くの機能を提供しています。Tata Technologiesの社内ドメイン・エキスパートは、プラットフォームのすべての機能に精通しており、当社のデジタル・ロードマップを策定を支援してくれます。より専門的なライセンス・パッケージを検討する場合に、適切な意思決定に役立つアドバイスが得られると理解しています。」

Harbinger社は、既存の内燃エンジン車の改修ではなく、シャーシ・アーキテクチャを再構築する新しい中型EVソリューションの設計に着手しています。(Image © Harbinger)

生まれ変わるドライビング・エクスペリエンス

Harbinger社の中型トラックの主な設計の特徴には、ダブルウィッシュボーン式フロント・サスペンションがあり、フロント・オーバーハングを減らすことで、ドライバーの視界と車両の操縦性を向上させます。バッテリー・パワートレインをシャーシ・フレーム内に緊密に統合することで、トラックの乗降用ステップの高さを28インチ以下に抑えます。これは、毎日約200箇所の配達先を担当する配送ドライバーの乗降を考慮すると重要なポイントです。同社は、すべてを3DEXPERIENCE プラットフォームのCATIAで設計し、統合しています。

「これまでは、『これで十分』と考えられており、電動化は箱詰めするだけの作業と思われていました。しかし当社は、ドライバーの配送体験を向上させること機会ととらえています。たとえば、フロント・サスペンションの抜本的な改善により、ハンドリングは格段に向上します」。

Harbinger社のエンジニアは、シャーシ、ドライブトレイン、バッテリーの各チームから、ユーザー・インターフェース、パッケージング・グループに至るまで、全員が同じ開発環境で作業を進めています。3DEXPERIENCEプラットフォームのENOVIAは、変更の影響を受ける部門に決定やタスクを明確に伝達する、統合型の連携的な変更プロセスを促します。

「当社は、製品開発を急速に進めています。この1年、テストや検証から得られたことから学び、チーム全体で変更アクションを同時に調整しています。定期的にミーティングを開き、たとえば車両を確認して、シャーシやバッテリーの要素を移動することに意味があるかどうか検討しています。もしサイロ化されたアプリケーションで別々に作業していたら、このようにリアルタイムで何かをすることはできません。プラットフォームのおかげで、全員がすべてを確認して、その場でトレードオフを評価できます」。

開発を次の段階に進めるとき、生産における複数の製品構成の管理が必要なため、透明性と接続性が極めて重要です。完全かつ正確な最新の部品表を作成および維持するために、ENOVIAが重要な役割を果たしています。

「エンジニアリングから生産への移行に伴い、eBOMから製造BOMに重点が移されます。ホイールベースもバッテリーパックも異なるため、部品表はすべてのバリエーションに対応する必要があります。エンジニアリングから製造までのシームレスな接続は、少人数による無駄のない環境での迅速な作業に役立ちます」。

Harbinger社は、白紙の状態から考え直すことで、モーター、インバーター、ギアボックスを交換可能な単一のユニットに統合した独自のeAxleを含む、新しいシャーシ・アーキテクチャ開発アプローチで刷新しています。(Image © Harbinger)

耐久性に優れた商用EVのベンチマーク

Harbinger社は、2024年に初の商用EVを市場に投入する準備を進める中、DELMIAによるデジタル製造および計画機能など、3DEXPERIENCE プラットフォームの機能をこれまで以上に活用しています。

「将来を見据えて、DELMIAのビルド作業やmBOM管理など、プラットフォームの要素を導入し始めています。どのような組み立て治具が必要か、どのような順序で車両にすべてのものを取り付けるのかを検討するために、非常に貴重なものとなります。3DEXPERIENCE プラットフォームは、約20年、72万キロ相当という、トラック全体のライフサイクルを通じて、当社のオペレーションをサポートします。これには、保守計画、人間工学的調査、ツール・パス計画などが含まれます。すべての面で保守や修理が容易でなければなりません」

ごく近い将来、Harbinger社の電気トラックが米国の近隣地域を巡回し、安全でスマートかつ環境に優しい方法で物資や人を輸送する姿を目にすることができるはずです。商用EVの製造および運用方法を刷新する、Harbinger社の新世代の中型トラックは、独創的な発想を実現できることを示す先駆けといえます。

Harbinger logo > ダッソー・システムズ

Harbinger社について

商用EV企業であるHarbinger社のミッションは、業界で切実に求められているイノベーションを実現することです。同社は、EV、バッテリー、ドライブ・トレインに関する経験豊富な専門家が結集した最高クラスのチームにより、中型EVの需要増加をサポートしています。Harbinger社は、商用車専用の独自設計および自社開発車両技術の基盤を活用して、追加コストをゼロに抑えた世界初のEVプラットフの市場投入を着々と進めています。

本社:カリフォルニア州 ガーデングローブ

詳細情報: https://harbingermotors.com

Tata Technologies logo - Dassault Systèmes®

TATA Technologiesについて

広範なグローバル・フットプリントを誇るTATA Technologiesは、世界中の野心的な自動車、航空宇宙、産業、消費財メーカーが、より良い製品を顧客に提供するためのサポート業務を提供しています。