Edwards社

真空‐物質が存在しない空間 ‐ がなければ、今日の大部分の産業や製品は成り立ちません。医薬品から電気自動車のリチウム・イオン・バッテリーに至るまでのあらゆるものは、無菌環境や大気圧以下の圧力で製造する必要があり、真空ポンプが不可欠です。

世界の真空市場をリードしているのはEdwards社です同社はAtlas Copco社の一部であり、チェコ共和国の事業部門では、ライフサイエンス分野の産業顧客向けに真空ポンプと真空システムを開発しています。ルティンにある最先端施設において、同社は、さまざまなガスに適した真空ポンプを製造しており、腐食性、可燃性、爆発性、有毒な化学物質の取り扱いに伴うあらゆる課題に対応しています。

業界の最先端で事業を展開している同社は、顧客の研究開発(R＆D)チームと直接連携して、厳しい技術パラメーターや要件を満たしながら、より安全、迅速、持続可能かつ経済的な処理を実現するカスタム・ポンプを制作する必要があります。同社は毎年、自社の製品開発の一環として最大8件前後の特許を申請しています。

「当社は、最高品質の製品と優れたレベルのコミュニケーションとサポートで、科学分野のお客様に選ばれています。お客様の研究開発部門に深く関与して、非常に特殊な用途に対応するポンプや真空システムを開発しています。」（Edwards社の研究開発担当エンジニアリング・マネージャ、Petr Smerek氏）

このようなオープン・イノベーションの強力関係を維持するために、Edwards社は迅速かつ非常に安全な方法でデータを共有する必要があります。一段とカスタマイズが必要なポンプの需要が高まっているため、同社は製品開発プロセスを3DEXPERIENCEプラットフォームに移行させることを決定しました。

「カスタマイズに焦点をあてた大型プロジェクトを複数進行中です。製品ライフサイクル管理（PLM）を接続してデータを一元化する手段を見つける必要がありました。3DEXPERIENCEプラットフォームは、この必要性を充分に満たし、当社が効果を享受できる接続型のアプリケーションや機能のポートフォリオを提供してくれます。」（Smerek氏）

3DEXPERIENCEプラットフォームへの移行前、研究開発、設計、業務、品質の各チームがすべての保存データをより合理的な方法で連携できる一元化した環境がEdwards社にはありませんでした。

「すべてが分断されていました。「複数のアプリケーションを利用していましたが、すべてが相互に結び付けられていませんでした。データがサイロ化されて、効率を妨げる原因になっていました。」（Smerek氏）

Edwards社は、CATIA V5を製品設計にすでに使用していたため、3DEXPERIENCEプラットフォームにステップアップして、データ管理を統合し、関連アプリケーション（ENOVIAとDELMIA）を活用する準備が整っていました。

「主要な効果は、データベースです。すべての情報を一ヵ所にまとめて保護できます。また、データ、人々、リソースを完全に結び付けてることができます。スプレッドシートから情報を探し出す必要がなくなりました。3DEXPERIENCEプラットフォームにログインして、関連するすべての作業と結果を確かめることができます。当社の組織全体で全員が利用できるネットワークです。」（Edwards社、設計リーダー、Jiri Korycan氏）

Edwards社は、ダッソーシステムズの技術パートナーであるTechnodat社と緊密に連携して同社の業務を3DEXPERIENCEプラットフォームに適応させて、さまざまな機能を活用しています。

「このプラットフォームを5年以上使用しています。現在、社内のユーザー数は60人以上、Atlas Copcoのすべての部門でのユーザー数は400人を超えています。3DEXPERIENCEプラットフォームを利用する知識を時間をかけて得てきたおかげで、当社の業務プロセスを良好に機能させることができています。プラットフォームと当社のニーズとは真の相乗効果があります。」（Korycan氏）

Technodat社は、科学的な開発を担当する新技術検証チーム、デモンストレーターと連続生産を監督する研究開発チーム、コンピュータ支援製造（CAM）データを管理する機械加工部門など、さまざまな部門でプラットフォームを展開するEdwards社をサポートしてきました。各段階において、Technodat社がEdwards社に協力して、プラットフォームの機能を同社のニーズに適応させて、必要なトレーニングとサポートを提供しています。

「Technodat社は、当社のデータと3Dモデルでライセンスを試行する、素晴らしいプリセールス・サービスをサポートしてくれました。これにより、当社の内部業務プロセスをシミュレーションして、最適なソリューションを決定することができました。」（Korycan氏）

各部門から次の部門へ、相互に関連した一貫した情報の流れに支えられ、Edwards社は、開発を加速させ、製造を始める前に、十分な情報に基づいて新製品設計の意思決定を行っています。

「新しいポンプを、試作品の制作前に、仮想的に広範囲にわたってモデル化および試験し、設計を何度も繰り返して組立業務を検証できます。「製造現場への実際の投資前に、業務のさまざまな分野から多くの意見を得ることができます。」（Korycan氏）

3DEXPERIENCEプラットフォームにより、適切なアクセス権がある適切な担当者のみが必要な情報を適時に確認できます。

「現在、エンジニアや営業、サービスなど、さまざまなユーザに適したアクセス権を設定する機能を活用しています。これにより、設計を作成・編集する必要のないユーザーでも、3Dデータを表示してフィードバックを共有できるようにしています。」（Smerek氏）

3DEXPERIENCEプラットフォームは、安全な連携的環境を実現します。新規ユーザーが特定のデータにアクセスするには、事前に承認が必要ですが、システム間でのデータ交換には不要です。また、サードパーティのアプリケーションを含む、すべてのソフトウェアを3DEXPERIENCEプラットフォームに完全に統合できます。

「このプラットフォームは、当社の知的財産を保護しながら連携をサポートできるように設定されています」（Korycan氏）。

Edwards社は、3DEXPERIENCEプラットフォームの強力な連携機能によるメリットだけでなく、以前はスプレッドシートで処理していたプロジェクト管理機能を最新のものにできまています。現在、同社はプラットフォームでENOVIAを使用して、すべての新しい研究開発活動を集約し、プロジェクト計画を比較して、作業手順を作成し、必要なリソースを正確に割り出しています。

「このシステムにより、数秒以内にプロジェクト計画を作成して、重点的なタスクやリソース計画を画面で確認できます。システムを見直して、事前に計画を立て、優先順位に応じてキャパシティを割り当てることができるため、期日の遅れや同じような問題点に関する、社内ユーザーの否定的なフィードバックを受けることが大きく減少しました。また、今後同様のプロジェクト計画に取り組む際に、より正確な予測を立てることができます。」（Korycan氏）

すべての情報を単一のダッシュボードで利用して、プロジェクト・マネージャがより効率的に作業を進め、リアルタイムのデータにより、リソースを必要に応じて移動させることで、プロジェクトを確実に軌道に乗せることができます。ポンプ設計の更新はすべてCATIAで行われ、3DEXPERIENCEプラットフォームを通じて必要な担当者に共有されます。これは、製品の更新を追跡し承認して、開発ライフサイクルの各段階でトレーサビリティを維持するために効果的であることを実証しています。

「誰が、どこで、いつ、何を承認したのか、客観的な証拠をシステムで確認できます。何百通もの電子メールや会議のメモに目を通す必要はありません。」（Korycan氏）

高精度な製造には、高度な公差解析と組立の実現可能性の調査が必要です。Edwards社は、3DEXPERIENCEプラットフォームにより、製品開発のできる限り早い段階でこの作業を実行しています。これにより、市場投入までの期間を短縮して、材料消費や製造に必要なCAMプロセスの面でポンプ部品の設計を最適化できます。

「通常、部品のいくつかのバリエーションを設計し、3DEXPERIENCEプラットフォームを使用して、フライス工具のサイズや速度など、CAMプロセスの理想的な形状を定義したうえで、機能とコストのバランスを決定しています。」（Korycan氏）

加工チームは、DELMIAを使用して、より自動化された方法で個々の部品のNC加工を効率的に設定しています。

「機械のプログラミングにDELMIAを使用することで、編集の多いアプリケーション・プログラミング・インターフェースの変更を素早く実行できます。DELMIAにより、1週間はかかる手作業によるプログラミングを数時間で完了できます。」（Edwards社、加工製造リーダー、Martin Filipovic氏）

最終的に、Edwards社は、3DEXPERIENCEプラットフォームを組立ラインのシミュレーションに利用することを考えています。これにより、組立ラインを構築する前に、理想的な設定を識別できます。

「当社の目標は、DELMIAによる、すべての機械加工プロセスの自動化です。また、DELMIAをロボティクスの管理にも活用できると考えています。すべての生産プロセスをまず仮想的にシミュレーションすることで、衝突などの後の工程で生じる可能性がある問題点を検出して回避できます。」（Filipovic氏）

エネルギー・コストが急騰する中、Edwards社とそのお客様は、収益性の維持というプレッシャーに直面しています。これに対処するため、同社は信頼性、持続可能性、コスト効率に優れた、生産中に電力を節約できる真空ポンプのソリューションの開発に注力しています。

「3DEXPERIENCEプラットフォームは、製品設計と部品加工の最適化に役立ちます。お客様のイノベーションを支援して、生産中の電力効率をさらに5%向上させる真空ポンプを開発、生産するという当社の目標において重要な役割を果たしています。これは、当社のお客様のエネルギー削減への取り組みに大きな効果をもたらします。」（Smerek氏）

Edwards社は、3DEXPERIENCEプラットフォームの強力な機能により、持続可能な責任あるイノベーションを継続しながら、お客様に競争上の優位性をもたらすカスタマイズされた真空ポンプを提供する自信を高めています。

「当社は、業界の専門知識、設計開発強化、多様な製品ポートフォリオを組み合わせて、お客様のニーズを最適に満たすソリューションを開発できる独自なポジションを確立しています。「当社の原動力はイノベーションです。3DEXPERIENCEプラットフォームを利用すること、当社および担当者の取り組みをサポートし続けて、科学の限界を押し広げることができます。」（Smerek氏）