CSADI社

中国の中南建築設計院(CSADI社)は、3DEXPERIENCEプラットフォーム

を採用して、Building Design for FabricationおよびIntegrated Built Environmentにより、武漢市の次世代気象レーダー観測所の建設をシミュレーションする、コンストラクション・バーチャル・ツインを活用しています。

設計の効率化を達成

3DEXPERIENCEプラットフォームにより、配管やHVACなど、10以上の専門分野を組み合わせて、前例のない設計の効率化を達成。

60%

施工ミスの低減

30%

建設スケジュールの短縮

スマート・コンストラクションによる遠大な気象観測所

生産性が課題である建築・建設業界において、イノベーションと効率のバランスを調整することは容易ではありません。しかし、この業界は今、デジタル環境に一歩踏み出し、建物の設計および建設を見直しています。建築・建設企業が、ビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)の枠組みを超えて、バーチャル・ツインにより、エンジニアリングおよび建設ノウハウを構想段階で組み込み、人、データ、ワークフローをシームレスに結び付けています。

その一例が、武漢の次世代気象レーダー観測所を設計および開発した中南建築設計院(CSADI社)です。気象災害監視ネットワークにおいて重要な役割を果たす、ツイン・タワーの気象観測所の設計および建設において、CSADI社はバリュー・チェーンのすべての分野を一元化して、実際の着工前に、設計と施工の精度を高める、バーチャル・ツインによる高度な技術を使用して、同社のビジョンを実現しています。CSADI社による、この野心な取り組みは、中国におけるスマート・コンストラクション採用の拡大に支えられています。

Li Ting氏(CSADI社会長)は、次のように述べています。「都市建設におけるすべての要素を管理する、高度な技術企業へのトランスフォーメーションが当社のビジョンです。近年、中国の建築・建設業界は、EPC(設計、調達、建設)のコンセプトを支持しており、一連の政策がこのコンセプトを推進しています。EPCでは、設計に基づいてゼネコンがすべての専門分野を統合します。建材製品とプロセスの設計を組み合わせることで、これまで断片化されていたプロジェクト管理の真の統合が図られます」

CSADI社は、コネクトされたのスマート・コンストラクションのビジョンを実現する、3DEXPERIENCEプラットフォームに信頼を寄せています。

Li Ting氏は、次のように述べています。「プロジェクトを成功させるには最高のツールが必要です。そのため、ダッソー・システムズとの連携および3DEXPERIENCEプラットフォームを重視しています。このプラットフォームをテストするパイロット・プロジェクトとして、武漢の次世代気象レーダー観測所は最適でした。これにより、構造、給水、空調、電気コストおよび地盤工学に対応する、すべての専門分野をバーチャル・ツインに取り込み、真の連携的な設計を達成できることを確認しています」

3Dの透明性とスピード

バリュー・チェーン全体にわたってすべての関係者を単一の環境内で結び付け、すべての要件を考慮しながら、情報が途絶えないようにすることが、このような多面的なプロジェクトを成功させるために重要です。

Li Ting氏は、次のように述べています。「例えば、基本的に同じ3Dモデルを維持しながら、非常に複雑な詳細をゼネコンと正確に共有しています。各専門分野のすべての関係者が同じモデルに取り組み、ライフサイクル全体にわたって単一のモデルに基づいた初めてのプロジェクトでした」

Zhang Shen博士(CSADI社、エンジニアリング・デジタルR&Dセンター・ディレクター)は、このデータ・フローの連続性がもたらすメリットを次のように説明しています。「当社の主な目標は、3DEXPERIENCEプラットフォームを使用してデータ主導型の開発と単一のデータ・ソースによる作業を達成することです。これにより、設計、建設、運用、保守間でデータを効率的に結び付けて、各段階で実行されていることを正確に把握できます」

2D図面からデジタル3Dモデルへのシフトが、CSADI社に変革をもたらしています。

Li Ting氏は、次のように述べています「3DEXPERIENCEプラットフォームは、当社の固定概念を変革する、大きなきっかけとなっています。以前は2D CADを使用しており、サイロ化された作業環境で各分野が独自の図面を作成していました。このため設計ミスや不適切な優先順位付けが頻繁に発生していましたが、リアルタイム・コラボレーションにより、このような問題を解消しています」

同社の設計者は、武漢の次世代気象レーダー観測所のフォトリアリスティックな画像を着工前に施主と共有しています。

Yang Hao氏(CSADI社、エンジニア)は、次のように説明しています。「3DEXCITE を使用して、気象観測所の内装を設計しました。グラフィック出力に基づいて資材を選択して、完成後の構造物の外観を顧客に明確に説明するために役立てています」

3DEXPERIENCEプラットフォームは、プロジェクト管理の合理化にも役立っています。適切なタスクを適時にすべての関係者に割り当て、必要な機能へのロールベースのアクセスを提供できます。

Yang Hao氏は、次のように述べています。「3DEXPERIENCEプラットフォームでENOVIA を使用して、給水/配管やHVACなど10以上の専門分野を組合わせて、各担当者に対して個別にアクセスを許可しています。プロジェクト・マネージャがプロセス全体をさらに明確にして、タスクを各分野のリーダーに割り当てています」

この合理的かつ透明性の高いアプローチにより、CSADI社はミスを減らし、建設段階を以前よりもはるかに早期に完了しています。

Zhang Shenは、次のように述べています。「前例のない設計効率を達成しています。モデルへの各自の更新をすべての関係者が同時に確認できるため、設計効率がおよそ30%向上しています。設計と施工計画を同じモデルを使って一元化することで、建設会社による誤った解釈や憶測による作業を避け、建設プロセスで生じるミスをおよそ60%減らしています。これにより、建設スケジュール全体をおよそ30%短縮しています」

CSADI社は、3DEXPERIENCEプラットフォームの3DEXCITEによるフォトリアリスティックなグラフィックスを使用して、着工前に武漢の次世代気象レーダー観測所の完成イメージの可視化をサポートしています。

建設の難易度およびコストを低減

武漢の次世代気象レーダー観測所は、通常とは異なるタワー形状です。このツイン・タワーの外側のファサードには螺旋形状が採用されています。jjこの高度な設計は、3DEXPERIENCEプラットフォームのCATIAによる、デジタル処理によって最適化されています。これにより、建物の完璧な回転角度を特定し、1,000以上のガラス繊維強化コンクリート外壁パネルの形状と寸法を正確に計算して、建設の難易度とコストを低減しています。

Zhang Shen氏は、次のように述べています。「武漢の次世代気象レーダー観測所のプロジェクトでは、双曲線による非常に複雑なツイン・タワー形状が採用されています。CATIAにより、建物の螺旋形状に最適な18°の角度を特定できました」

このような複雑な設計では、正確な3Dモデルにより、完成後の外観を建設会社に明確に説明することが非常に有益であり、価値をもたらします。CSADI社は、建築、構造、機械、電気、配管、ファサードのエンジニアリングに対応するすべての専門分野に対して、CATIAを使用して詳細なパラメトリック・モデルを作成しています。これにより、ジェネレーティブ構成と派生モデルの管理をサポートしています。

Zhang Shen氏は次のように述べています。「当社は、建設会社と連携して、設計を微調整できるモデルにより、鉄筋、鉄骨構造、ファサード、施工手順のモデルを一元化された方法で組み込こんでいます。「これにより、施工方法を明確に説明することができました」

3DEXPERIENCEプラットフォームのCATIAによる、高度なタワー設計、デジタル処理による最適化、建物の螺旋形状に最適な18°の角度特定。

3DEXPERIENCE プラットフォームを使用する主な目的は、データ主導型の開発と単一データ・ソースからの作業を実現することです。これにより、設計、建設、運用、保守の間でデータを効果的に接続できるため、あらゆる段階で何が起きているかを正確に把握できます。

Zhang Shen 博士 - CSADI - ダッソー・システムズ
Zhang Shen 博士
CSADI 社、エンジニアリング・デジタル R&D センター担当ディレクター

着工前のシミュレーション

気候観測所の設計精度を高めて、仮想環境で建設をシミュレーションすることで、施工段階で生じる未確認要素が排除されています。これにより、CSADI社は工期を短縮およびコストを節約しています。

Zhang Shen氏は、次のように述べています。「DELMIAにより、バーチャル・ツインを作成して、建設プロセスと自動化設備をシミュレーションしています。これにより、着工前にすべてをテストおよび検証およびすべての作業指示を明確にして、プロセスのフールプルーフを確認しています」

これらのシミュレーションは、施工中の作業員の安全確保にも重要な役割を果たします。

Yang Hao氏は、次のように説明しています。「ファサードのコンポーネントを吊り上げて設置する順序をシミュレーションしています。これにより、プラットフォームを吊り下げる位置、障害物、風による影響の計算など、具体的なシナリオを考慮して、作業員による安全なファサード設置に最適な条件を特定できました」

CSADI社は、ファサード・パネルを設置する作業員の安全条件など、さまざまなテストのシミュレーションに3DEXPERIENCEプラットフォームを使用しています。

スマートなデータ管理

CSADI社は、スマート・コンストラクション手法を取り入れる一方で、作成される膨大な量のデータを管理する方法を見い出す必要がありました。CSADI社は、3DEXPERIENCEプラットフォームでENOVIAを使用して、すべてのデータおよびナレッジのテンプレートを保存しています。

Li Ting氏は、次のように述べています。「2Dエンジニアリング図面から3Dデジタル・モデルへの移行には、多くの作業が伴います。3Dモデルに組み込んで明確に可視化する必要がある、寸法、資材、コスト、プロセスなどの情報は膨大な量に上ります。これに対応するため、3DEXPERIENCEプラットフォームでコンストラクション・バーチャル・ツインの独自のモデルベース定義を作成しました。これにより、デジタル建設への移行を大きく加速させています」

Yang Hao氏は、次のように補足しています。「3DEXPERIENCEプラットフォームにより、大量のナレッジをすでに蓄積しており、テンプレート・ライブラリも増え続けているため、新しいプロジェクトをより迅速に立ち上げることができます」

すべての建設関連データを管理して明解なダッシュボードで表示できるNETVIBESもCSADI社にメリットをもたらしています。

Zhang Shen氏は、次のように述べています。「NETVIBESにより、建設プロセス、建設進捗管理、建設品質管理データを組み合わせて効率的に調整しています。建設会社が必要なすべてのデータを3Dモデルのコンテキストで取り込むことができるため、スマート・コンストラクション・プロセスを開発し続けている当社にとって、今後大いに役立ちます」

3DEXPERIENCEプラットフォームにより、建設現場において複数の関係者と即時に連携できます。

3DEXPERIENCEプラットフォームへの取り組み

CSADI社にとって、これは始まりに過ぎません。同社は現在、その他のプロジェクトへの3DEXPERIENCEプラットフォームの利用や、プラットフォームがもたらす技術により、さらに高いレベルの効率を達成する業界標準の開発を検討しています。

Zhang Shen氏は、次のように述べています。「今後は、同じ3Dデータ・モデルを使用して、最終的にはプリファブ工場の機械自動化を推進したいと考えています。これにより、大きな変革が建設業界全体にもたらされます」

同社は将来を見据えながら、3DEXPERIENCEプラットフォームによる、スマート・コンストラクションの機能強化を計画しています。

Li Ting氏は、次のように結論付けています。「ダッソー・システムズとの連携により、当社は大きな進歩を遂げています。CSADIは今、このデジタル化の機会を捉えて、業界のリーダーを目指さなければなりません。ダッソー・システムズの支援により、当社は自己改革を果たし、従来のエンジニアリング・コンサルタント会社か高度な技術をもつEPC企業への変革を遂げています」

CSADI社のロゴ - ダッソー・システムズ

CSADI社(中南建築設計院)について

1952年に創立された同社は、中国で最も早く設立された総合建築設計機関の1つであり、「中国の調査設計企業トップ100社」および「中国の近代建築設計100社」に選出されています。同社は、建設プロジェクトの全体的なプロセス技術および管理サービスの提供に特化しています(建築設計、都市計画、公共エンジニアリング、BIM設計およびコンサルティング、環境保全技術設計、プロジェクト管理、一括請負など)。